映画『完璧な他人』の感想と考察をネタバレありで紹介します。
スマホを他人に見せたことから次々と暴露されていく秘密。
そこから崩れていく人間関係。
人間の醜い本性を暴き出すブラックコメディです。
ラストシーンの意味とは?月食の呪いとは?
気になったシーンを考察しました。
作中でははっきりと明かされなかった謎が気になっている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
映画『完璧な他人』の作品情報
『完璧な他人』
— 映画配給会社ハーク公式 (@HARK_COMPANY) November 22, 2019
シネマート新宿他、大ヒット上映中‼️
自分のスマホ、見せる?見せない?
スマホの見せ合いで男女7人のパーティーが
修羅場と化す…
作品公式HPhttps://t.co/J6wOAMgYQS
ご来場をお待ちしてます‼️
スマホのロックは忘れずに📱#完璧な他人#夫婦の日 pic.twitter.com/pV5N6iyLGv
原題 | 사냥의 시간 |
タイトル | 完璧な他人 |
監督 | イ・ジェギュ |
脚本 | ぺ・セヨン |
公開年 | 2018年 |
出演 | ユ・ヘジン ヨム・ジョンア チョ・ジヌン キム・ジス イ・ソジン ほか |
制作国 | 韓国 |
上映時間 | 116分 |
ジャンル | ブラックコメディ |
本作は、2016年に公開されたイタリア映画『おとなの事情』の韓国版リメイクです。
フランス・ベルギー版リメイク『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』の感想&考察はこちら。
映画『完璧な他人』のあらすじ
知らないほうがいいこともある。スマホによって暴かれる人間の本性とは?
皆既月食の日の夜。
ソクホ夫婦の家に引っ越し祝いで集まった7人の男女。
「仲間内で秘密はない」と言う彼らは、”メールや電話など互いのスマホに届いたものを見せ合う”というゲームを始める。
軽い気持ちで始めたゲームだったが、嘘や裏切りが次々と明らかになっていき……。
映画『完璧な他人』の感想【ネタバレなし】
1番怖いのは人間!泥沼の人間模様は阿鼻叫喚
人の秘密にヘタに踏み込むものではないと思わされる映画でした。
ゲームをしようとなったときにみんなが案外すんなりスマホを出しましたが、とんでもない秘密が出るわ、出るわ…。
よくこんな状態でスマホなんか出せたな…。
こんなゲームをしてもいい結末が待っていないことはわかっているのに、怖いもの見たさでつい見入ってしまいました。
自分だったら絶対にスマホを見せるなんてできません。
知らなくていいことだって、たくさんありますよね。
以下、ネタバレを含みます
登場人物それぞれの秘密とキャスト
映画『完璧な他人』の登場人物がそれぞれ抱えている秘密をまとめました。
キャストも合わせて紹介します。
テス(演:ユ・ヘジン)
スヒョンの夫。弁護士をしています。
食事会に集まった男性陣はみんな幼馴染です。
亭主関白な気質で、お堅い印象。
<テスの秘密>
- 知人女性から毎晩10時に自撮り写真が送られてくる
- ゲイ(実際には違うが、ヨンベとスマホを交換したために誤解される)
- 仲間とのゴルフにヨンベを誘わなかった
- 妻が起こした交通事故の罪をかぶった
スヒョン(演:ヨム・ジョンア)
テスの妻。主婦をしています。
義母とソリが合わず、夫の理解も得られないため、今の生活に不満を抱いています。
<スヒョンの秘密>
- イェジンの悪口を言った
- 義母を老人ホームに入れようとしている
- ネットで知り合った24歳の男性と連絡を取り合っている
- 夫には内緒で派手な下着を身につけている
- 交通事故を起こした
ソクホ(演:チョ・ジヌン)
イェジンの夫。整形外科医です。
娘の教育方針が妻と合わず悩んでいます。
<ソクホの秘密>
- 投資詐欺の被害に遭っている
- 仲間とのゴルフにヨンベを誘わなかった
- 彼氏がいる娘のためにコンドームをわたした
- 妻には内緒で心理カウンセリングに通っている
イェジン(演:キム・ジス)
ソクホの妻。精神科医をしています。
心配性で、プライドが高いところがあるようです。
今回のゲームの言い出しっぺ。
<イェジンの秘密>
- 自身の講演会にセギョンのみを招待し、スヒョンを招待しなかった
- 「整形は弱い心につけ込む最悪の医療だ」と発言(夫は整形外科医)
- 豊胸手術を受けようとしている
- チュンモと不倫関係にある(仲間にはバレなかった)
チュンモ(演:イ・ソジン)
セギョンの夫。実業家のチャラ男。
新婚のためか、人目を気にせず妻とイチャついています。
<チュンモの秘密>
- 仲間とのゴルフにヨンベを誘わなかった
- 会社の部下と不倫し、妊娠させた
- イェジンと不倫関係にある(仲間にはバレなかった)
セギョン(演:ソン・ハユン)
チュンモの妻。獣医をしています。
仲間のなかで1番若く、少し世間知らずなところがあるようです。
ズバズバ言っちゃうタイプのため、爆弾発言をしてしまうことも。
<セギョンの秘密>
- 元カレと連絡を取り合っている
ヨンベ(演:ユン・ギョンホ)
バツイチの独身。
元体育教師ですが、あらぬ疑いをかけられてクビになってしまいました。
<ヨンベの秘密>
- ゲイ
- 現在、男性と交際している
映画『完璧な他人』の結末
メールや電話をきっかけに、それぞれの抱える秘密が次々と暴露されていく。
7人は疑心暗鬼になり、夫婦の愛情も友情も壊れてしまった。
険悪なムードのまま食事会はお開きになり、各々ソクホ宅を後にする。
それはちょうど皆既月食が終わる頃だった。
家を出た途端、これまでのことが嘘だったかのように笑顔で何気ない会話を交わす仲間たち。
離婚話にまで発展したチュンモ夫婦は相変わらずイチャイチャ。
テス夫婦も2人そろって帰宅。
ソクホ夫婦とヨンベもいつもどおり。
彼らは自分だけの秘密を抱えながら、表面上は何事もないかのように振る舞うのだった。
映画『完璧な他人』の感想【ネタバレあり】
食事会の準備をするソクホ夫婦、ソクホ宅へ向かうテス夫婦の様子、この時点ですでにワケアリ感が満載。
和やかなムードで食事会が始まったかと思えば、ゲームが始まる前からチクチクとトゲのある言葉の応酬。
ドロドロとした人間関係がやけにリアルでした。
韓国映画って、こういう人間の怖さをうまく描いた作品が多いですよね。
そしてイェジンが泣きながらチュンモにピアスを返すシーン。
さっき不倫相手の妊娠が発覚したばっかりのチュンモに、思わず「そこもやったんかーい!」とツッコんでしまいました。
ゲームの発案者であるイェジンの最大の秘密(チュンモとの不倫)がみんなの前で暴露されなかったのは残念です。
みんなを焚きつけておいて自分が負ったダメージは割と少ない…。
ヨンベの「人の本性は月食と同じだ。隠れていてもまた現れる」というセリフはまさにそのとおりだなと感じました。
映画『完璧な他人』の考察
映画『完璧な他人』のなかで気になったシーンを考察しました。
考察1:ラストシーンの意味は?
修羅場と化していた食事会でしたが、ソクホ宅からなぜか笑顔で出てくるチュンモ夫婦たち。
ゲームは実際の出来事ではなく、月食の間に空想の世界あるいは並行世界で起きた出来事だったのでしょう。
現実世界での彼らはゲームをせず、秘密が暴露されることもなく、それぞれの関係にヒビが入ることもなかったのです。
以下のことから実際にゲームをしていないことがわかります。
- 指輪を置いて出ていくときに結い上げていたセギョンの髪型が、ゲームを始める前と同じダウンスタイルになっている
- ゲームで自分以外の仲間たちがゴルフに行く計画をしていることを知ったはずのヨンベが、その計画を知らない
- ワインをこぼして着替えたはずのソクホの服装が、着替える前の服装に戻っている
- チュンモに返したはずのピアスが、イェジンのドレッサーの上にある
ゲームをしなかった彼らはそれぞれが秘密を抱えつつ、これからも過ごしていくのでしょう。
考察2:チュンモとイェジンの関係の伏線
映画終盤、ピアスによって発覚するチュンモとイェジンの不倫。
思い返せばそれ以前にもチュンモとイェジンの会話で怪しかった点はいくつもあります。
友人・スンデの浮気がメールによって発覚したことに対して「(メールは)さっさと削除しないと危ないのに」と言うチュンモ。
自身も経験者だからこそ出てきた言葉でしょう。
実際、イェジンとのやりとりも削除していました。
また「スマホには情報が詰まり過ぎていて、見せろと言われたら困るでしょ」とチュンモに目配せするイェジン。
それに対して「(料理が)おいしい」とわざとらしく話を変えようとし、目をそらすチュンモ。
ピアスを返すシーンまで2人の関係には気づいていませんでしたが、しっかり伏線がありました。
ほかにも何気ない会話やしぐさのなかに伏線が張り巡らされているかもしれません。
考察3:テスたちは月食の呪いにかかった?
映画冒頭で子ども時代のテスたちが「月が赤くなると呪いにかかるらしい」という会話をするシーンがあります。
ここではどのような呪いかについては言及されません。
しかし、月食の呪いこそが今回のゲーム、人間関係の崩壊に導いたのではないでしょうか。
食事会の序盤ではまだ月食は始まっておらず、和やかなムードでした。
月食が始まった頃から徐々に雲行きが怪しくなり、ゲームが始まると人間関係に亀裂が入っていきます。
食事会がお開きになる頃に月食が終わり、みんな笑顔で帰宅しました。
信頼関係が崩れていく悪夢のような状況は、月食の間だけ起こっていたのです。
彼らは、月食によって「疑心暗鬼」「人間不信」という名の呪いにかかってしまっていたのかもしれません。
映画『完璧な他人』の感想&考察まとめ
今回は、映画『完璧な他人』の感想と考察をネタバレありで紹介しました。
次々と明かされていく秘密、決して他人事とは思えない、毒が強めの作品でした。
人間不信に陥るかもしれないので、心に余裕があるときに見るのをおすすめします。