『バクラウ地図から消された村』ネタバレ&考察!ラストシーンの意味とは?

映画『バクラウ 地図から消された村』のネタバレ&考察を紹介します。

「ジャンル不明」「ブラジル版ミッドサマー」ともいわれる本作。

村人たちが飲んでいるあの薬は何なのか?

ラストシーンは何をするのか?

気になったシーンを考察しているので、ぜひ本記事を参考にしてください。

目次

映画『バクラウ 地図から消された村』の作品情報

原題Bacurau
タイトルバクラウ 地図から消された村
監督ジュリアノ・ドネルス
クレベール・メンドンサ・フィリオ 
脚本ジュリアノ・ドネルス
クレベール・メンドンサ・フィリオ 
公開年2020年
キャストソニア・ブラガ
ウド・キア
バルバラ・コーレン
トーマス・アキーノ ほか
制作国ブラジル
フランス
上映時間131分
ジャンルサスペンス

映画『バクラウ 地図から消された村』のあらすじ

この村、何かがおかしい。

ブラジルにある小さな村・バクラウ。

近くを流れる川の水の利権を巡って周辺地域では争いが起こっている。

テレサは葬儀に参列するため、久しぶりにこの村へ帰ってきた。

その翌日から村ではさまざまな異変が起こる。

地図からは村が消え、UFOのような謎の円盤が目撃され、スマホの電波が入らなくなった。

その裏には驚きの理由が隠されており……。

映画『バクラウ 地図から消された村』の感想【ネタバレなし】

閉ざされた村社会の狂気!先の読めない展開がおもしろい!

序盤から不穏な空気が漂い、閉鎖的なコミュニティ、そしてUFOのような謎の円盤。

これから何が起こるのか、途中までまったく読めませんでした。

なんか嫌な雰囲気、でも画面はずっと明るい

みたいな感じで、これがブラジル版ミッドサマーといわれる理由かと納得しました。

映画のシーンはだいたい昼間なんですけど、閉鎖的な村だからこその恐怖感じるんですよね…。

後半は雰囲気が一気に変わり怒涛の展開に。

最後はこれまた嫌ーな余韻を残す終わり方でした。

これはどういうこと?と思うシーンもありましたが、あまり多くを語らないのが魅力なのかもしれないですね。

以下、ネタバレを含みます

主な登場人物

映画『バクラウ 地図から消された村』の主な登場人物とキャストをご紹介します。

テレサ(演:バルバラ・コーレン)

久しぶりに故郷であるバクラウに戻ってきた女性。

バクラウは小さな村なので、ほとんどの村人とは顔見知りのようです。

パコッチ(演:トーマス・アキーノ)

バクラウの村人。村の若者たちのお兄ちゃん的な存在。

犯罪行為しているところがネットで晒されていましたけど、村ではあんまり気にされていないみたいです。

ドミンガス(演:ソニア・ブラガ)

バクラウの医師。

序盤で大騒ぎして強烈なインパクトを残しますが、普段は冷静な性格のようです。

ルンガ(演:シウヴェロ・ペレイラ)

バクラウのギャング的な存在。指名手配されています。

肉体美が素晴らしい。敵に対して容赦ないのがまたカッコいいです。

トニー・ジュニア(演:サーデリー・リマ)

バクラウがある地域の市町。バクラウ襲撃の黒幕。

めちゃくちゃ嫌なヤツ。

派手すぎる選挙カー(?)はどうかと思うんですけどね…。

マイケル(演:ウド・キア)

バクラウを襲った武装集団のリーダー。

短気で、怒ると簡単に人を殺すようなやばい人。

生き埋めにされても命乞いしなかったところはさすがリーダー。

映画『バクラウ 地図から消された村』の結末

ある日、2人組のバイカーが村へやってきた。

この2人は、バクラウを襲撃するための武装集団の一員だ。

彼らは村人たちに気づかれないように、機材を仕掛けて去っていった。

そのまま仲間が待つアジトに戻った2人。

しかし、作戦会議中に仲間割れが起こり、2人は銃殺されてしまう。

翌日、武装集団は村を襲撃する。

しかし、村人たちから返り討ちに遭い、武装集団のリーダー・マイケル以外は全員殺害された。

襲撃の黒幕は、市長のトニー・ジュニアだった。

村人たちはトニー・ジュニアを村から追い出し、マイケルを生き埋めにした。

映画『バクラウ 地図から消された村』の感想【ネタバレあり】

独特な空気感ではあるけど、か弱い村人かと思いきやバリバリの戦闘民族でした。

全裸で銃をぶっぱなすダミアーノ夫妻には驚きです。

全裸なんだけどね(笑)。

敵の首をバッサリ切り落とすルンガに、平然と死体のあと片付けをする女性たち。

薬の効果もあるとはいえ、強すぎませんか。

村人たちはバイカーに対してしきりに博物館の見学を勧めていましたが、これは警告でもあったのかもしれないですね。

俺たちはこんな歴史をくり返してきた戦闘民族だから、立ち振る舞いには気をつけろよ、的な。

ブラジルの歴史も絡めたような設定がおもしろい作品でした。

映画『バクラウ 地図から消された村』の考察

映画『バクラウ 地図から消された村』で気になったシーンを考察しました。

考察1:バクラウにはブラジルの歴史が凝縮されている?

バクラウという村の存在には、ブラジルの歴史が凝縮されているように感じました。

作中で見られた描写を1つずつ解説します。

奴隷制度

ブラジルは、ポルトガルの植民地として奴隷制度が長く続いた国です。

バクラウでも人々が搾取されている描写が見られます。

トニー・ジュニアが選挙活動で村にやってきた際、1人の女性を買っていました。

(実際にはツケなので、「買う」ではないのですが…。)

村人たちの様子からも、今回が初めてではないことがうかがえます。

キロンボの形成

キロンボとは、逃亡したブラジルの奴隷が形成した集落のことです。

逃亡した奴隷の多くは捕まって重い罰を受けましたが、一部の奴隷は逃げ延びて、人目につかない山間部などに隠れました。

こうしてできたのがキロンボであり、ブラジルの各地で作られたそうです。

バクラウもキロンボの1つなのでしょう。

キロンボは土地の所有権を巡って、政府に抗議をくり返していました。

バクラウが地図から消されたのは、こうした土地の所有権を巡る争いを表しているのかもしれません。

さまざまな人種

ブラジルは移民が多く、さまざまな人種が暮らしています。

バクラウは小さな村ですが、村人の人種はバラバラです。

 

南北の貧富格差

ブラジルでは、地域の貧富格差が大きな問題になっています。

ブラジルの南側は経済的に豊かな地域が多く、北側は貧しい地域が多いです。

バクラウがあるペルナンゴフ州はブラジルの北東部に位置しています。

生活インフラが発達しておらず、物資が不足していることからも、バクラウが困窮していることがうかがえます。

バイカーのジョアンとマリアがバクラウにやってきたとき、ギターのおじいさんは次のように歌っていました。

南の人は眠らず日にも焼けていない

針も糸も使わず魚を釣ることを学ぶ

そして偉そうに振る舞う

これは貧しい北側の住人が必死に働いている一方で、南側の住人が苦労せずに暮らしていることを表しているように思えます。

ちなみに、ジョアンとマリアはリオデジャネイロから来たと言っていました。

リオデジャネイロはブラジルの南部にあり、経済的に豊かな地域です。

武装集団との会話のなかでも、南北の貧富格差に触れる部分がありました。

考察2:なぜバイカー2人は殺害された?

バイカーのジョアンとマリアは、武装集団のいざこざで銃殺されます。

話の展開としては急だったように感じますが、なぜ2人は殺害されたのでしょうか。

その理由は、人種差別や奴隷制度に対する批判の意味が込められているからだと考えます。

バクラウと武装集団は、対照的な存在として描かれています。

バクラウでは人種や職業による差別は見られず、住人同士はみんな対等な関係です。

一方、武装集団は違います。

バイカー2人を除き、白人の武装集団はブラジル人ではありません。

彼らはブラジル人であるバイカー2人を見下したような態度をとります。

また、殺しを楽しんでいる様子もうかがえ、バクラウの村人の人権など完全に無視しています。

武装集団はブラジルの奴隷制度で利益を得た諸国を表しているのです。

奴隷制度では、奴隷の人権を認めず、過酷な環境での労働を強制しました。

それによって命を奪われた奴隷も大勢います。

ブラジル人のバイカー2人は、「奴隷だから」という理由だけで無惨にも殺害された人々そのものなのです。

考察3:村人たちが飲んでいた黒い薬とは?

村人たちが飲んでいたのは、おそらく麻薬のようなものでしょう。

テレサはバクラウに帰ってきたとき、ダミアーノからこの薬を口に入れられました。

その後の葬儀で、彼女は棺から水が溢れているのを見ます。

これは薬による幻覚を暗示しているのでしょう。

テレサもほかの村人たちも薬の服用を拒む様子はなかったので、村では普通に受け入れられているようですね。

これまでも有事の際は服用されてきたのだと考えられます。

村人たちは薬の効果で恐怖心を抱かずに敵と闘えるのでしょう。

深読みしすぎかもしれませんが、ダミアーノがテレサに薬を飲ませたのは、村への忠誠心を試すためだったのかもしれません。

テレサはバクラウ出身ですが、現在は別の町で暮らしています。

強力な作用を持つ薬なので、村人ではなく普通の人なら飲むのを拒むでしょう。

ダミアーノは薬を飲ませることで、村を離れたテレサの帰属意識を確かめようとしたのかもしれませんね。

もちろん、ただ単純に薬を飲む習慣があるだけの可能性もあります。

考察4:ラストシーンの意味とは?

ラストシーンで、トニー・ジュニアは村から追い出され、武装集団のリーダー・マイケルは生き埋めにされました。

このラストシーンについて、2つの疑問が浮かびます。

  • トニー・ジュニアが殺害されなかったのはなぜ?
  • マイケルが生き埋めにされた理由は?

まず、トニー・ジュニアが殺されなかったのは、彼がブラジル人だからでしょう。

バイカーのジョアンは「ブラジル人は同胞を殺さない」と言っていました。

つまり、村人たちはいくら憎むべき敵であっても、同胞であるトニー・ジュニアを殺せなかったのです。

死をもって償わせることができない以上、追放処分にするしかなかったのでしょう。

そして、マイケルは今回のような惨劇がくり返されないように祈りを捧げるための生贄にされたのだと考えられます。

バクラウはこれまでも外部から襲撃を受けてきたのでしょう。

このことは博物館の展示からもわかります。

本来であれば襲撃の黒幕であるトニー・ジュニアが生贄となるべきでしたが、やむを得ずマイケルが身代わりに選ばれたのです。

マイケルは牢獄に入れられたとき「これは始まりにすぎない」と言っていました。

これは、バクラウへの襲撃がくり返されることを意味しているのだと思います。

バクラウに平和が訪れるのはまだまだ先のことなのかもしれません。

映画『バクラウ 地図から消された村』ネタバレ&考察まとめ

今回は、映画『バクラウ 地図から消された村』のネタバレ&考察を紹介しました。

ブラジルの歴史を凝縮したような設定がめずらしいですよね。

村を守るために闘う人々の狂気が鮮烈でした。

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