映画『ヴィーガンズ・ハム』のネタバレあらすじ&感想を紹介します。
ある日、ヴィーガンの青年を殺害してしまったヴァンサン夫妻。
手違いでその人肉を販売すると飛ぶように売れ、これをきっかけに2人は次々と犯行を重ねるようになり…。
映画『ヴィーガンズ・ハム』の内容が気になっている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
映画『ヴィーガンズ・ハム』の作品情報
◆配信開始
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) December 6, 2023
映画『ヴィーガンズ・ハム』(フランス)
街の肉屋の名物は、一度食べたら病みつきになるハム。
飛ぶように売れる人気商品の材料を手に入れるため、狩りに出かける店主夫妻。その特別な材料とは…?
戦慄と夫婦愛が入り乱れるブラックコメディ。#ヴィーガンズ・ハム pic.twitter.com/abT09stlVW
原題 | Barbaque |
タイトル | ヴィーガンズ・ハム |
監督 | ファブリス・エブエ |
脚本 | ファブリス・エブエ ヴァンサン・ソリニャック |
公開年 | 2022年 |
キャスト | ファブリス・エブエ マリナ・フォイス ジャン=フランソワ・キエレイ ヴィルジニー・オク ほか |
制作国 | フランス |
上映時間 | 87分 |
ジャンル | ブラックコメディ |
映画『ヴィーガンズ・ハム』のあらすじ【ネタバレなし】
おいしいと評判のハム。その正体はヴィーガンの人肉だった。
夫婦で精肉店を営むヴァンサンとソフィー。
ある日、過激派のヴィーガン活動家から店を襲撃されてしまう。
怒ったヴァンサンは犯人の青年を車で轢き殺し、遺体を解体して店に隠した。
翌日、手違いで青年の肉を販売してしまったが、「おいしい」と思わぬ評判を呼ぶことに。
これに味を占めた夫妻は、ヴィーガン狩りに手を染めていくのだった。
映画『ヴィーガンズ・ハム』の感想【ネタバレなし】
タブーへ軽快に斬り込む痛快ブラックコメディ!
社会風刺とブラックユーモアが強烈な作品です。
信条、人種、貧富の格差…。
よくこれでOKが出たなと思うほど(笑)。
日本だとここまで攻めたブラックコメディを作るのは難しいのではないでしょうか。
さまざまな社会問題に絡めていますが、重苦しい雰囲気はまったくありません。
コメディに振り切っているので、軽快にストーリーが進んでいきます。
これだけ社会の闇に斬り込んでおきながらも、笑いに変えられる監督の手腕はお見事。
人間を解体するシーンがはっきりと映されますが、血生臭さはありません。
さほどグロ耐性のない人でも問題なく見られると思います。
過激なブラックコメディをたのしみたい人におすすめの作品です。
以下、ネタバレを含みます。
主な登場人物とキャスト
映画『ヴィーガンズ・ハム』の主な登場人物とキャストを紹介します。
ヴァンサン(演:ファブリス・エブエ)
精肉店を営む男性。
店の経営は苦しく、そのせいで夫婦仲も冷え切っています。
肉に対する愛情が深く、成長剤を使った肉は売らない主義です。
小心者ですが、カッとなると攻撃的になるタイプ。
ソフィー(演:マリナ・フォイス)
ヴァンサンの妻。
肉にしか興味がない夫に愛想を尽かしています。
シリアルキラーを紹介する番組をよく見ているようです。
クロエ(演:リサ・ド・クート・テシェイラ)
ヴァンサンとソフィーの娘。
恋人・リュカの影響でヴィーガンになりました。
リュカ(演:ヴィクトール・ムーテレ)
クロエの恋人。ヴィーガン。
ヴィーガンの信条を無自覚に人へ押しつける厄介な人です。
マルク(演:ジャン=フランソワ・キエレイ)
ヴァンサン夫妻の友人。
大手精肉チェーンを経営していて、かなりのお金持ち。
稼ぎの少ないヴァンサンを見下しています。
ステファニー(演:ヴィルジニー・オク)
マルクの妻。
夫の稼ぎがいいことや、優雅な生活をしていることをいつも自慢してくる嫌味な人。
映画『ヴィーガンズ・ハム』のあらすじ【ネタバレあり】
映画『ヴィーガンズ・ハム』のあらすじを結末までネタバレありで紹介します。
評判の「イラン豚」
ある日、ヴァンサン夫妻が営む精肉店は過激派のヴィーガン活動家に襲撃された。
このことを友人のマルク夫妻に相談するが、彼らは自慢話ばかりでまともに取り合ってくれない。
大手精肉チェーンを経営して優雅な生活をするマルク夫妻を見て、ソフィーは落ち込むばかりだ。
その帰り道、ヴァンサン夫妻は店を襲った犯人の1人を発見。
ヴァンサンは怒りにまかせて犯人を車で轢き殺してしまった。
慌てた夫妻は事件を隠蔽することに。
ソフィーはシリアルキラーを紹介する番組をよく見ており、そこで見た手口を真似することにしたのだ。
店で遺体をバラバラに解体して街のゴミ箱に捨てる計画だ。
翌日、店の馴染み客が「今朝買ったハムがおいしかったのでまた買いたい」とやってきた。
実は、そのハムは昨夜の活動家の肉。
遺体は街のゴミ箱に捨てる予定だったが、怖気付いたヴァンサンが店の保管庫に入れたままにしていた。
そうとは知らないソフィーが売ってしまったのだ。
ハムを味見したソフィーも大絶賛。
ヴァンサンはそれが人肉だと言えず、「イラン豚」だと偽って売った。
客が帰ったあと、何かがおかしいことに気づいたソフィーは、ヴァンサンを問い詰める。
ヴァンサンは事情を説明し、残りは捨てると言ったが、ソフィーは「完全犯罪にするために売るべきだ」と主張するのだった。
それからハムの評判を聞きつけた客が店に次々とやってきた。
「イラン豚」は飛ぶように売れていく。
ヴァンサンも「イラン豚」を味見してみると、そのおいしさに驚いた。
するとソフィーは、店の経営を立て直すためにこれからも「イラン豚」の販売を続けようと提案する。
気が進まないヴァンサンだったが、店を救う方法は他に考えられない。
ヴィーガン狩り
後日、ヴァンサン夫妻は娘のクロエと恋人のリュカを家に招き、食事会を開いた。
リュカはヴィーガンであり、その影響でクロエもヴィーガンになったのだという。
その話に戸惑いつつも、肉以外の料理を勧める夫妻。
ところが、リュカは何かと理由をつけてそれらをことごとく拒否した。
彼のあまりに一方的で失礼な言い分に夫妻はうんざりした様子だ。
クロエたちが帰宅したあと、夫妻はヴィーガン狩りを決意した。
彼らはヴィーガンを装って獲物に接近し、森へ誘い出すことに。
これもシリアルキラーの手口を参考にしたものだ。
そして夫妻は男女3人組を森へ誘い出すことに成功。
するとこの3人組は、これから一緒に精肉店を襲撃しようと言い出した。
彼らは過激派のヴィーガン活動家だったのだ。
襲撃先がマルクの精肉店だと悟ったヴァンサンは承諾し、嫌がるソフィーも連れていくことに。
道中、この3人組はヴァンサンの店を襲った犯人であることが発覚する。
マルクの精肉店に到着した一行は、店内を荒らしまくった。
ヴァンサンも日頃の鬱憤を晴らすかのように大暴れだ。
襲撃後、3人組と別れた夫妻は、些細なことで言い争いに。
ヴァンサンはソフィーを置いて帰ってしまった。
1人になったソフィーは、偶然にもヴィーガンの男性と知り合う。
ソフィーは彼にわざとケガをさせ、治療を理由に自宅へ誘い込んだ。
ヴァンサンは妻が男性を連れ込んだことに怒ったが、彼女の目的は「イラン豚」を手に入れることだ。
最初は殺すことをためらっていたヴァンサンだったが、男性がソフィーを抱こうとしたことに激怒。
怒りにまかせて男性を殴り殺した。
理由はともあれ「イラン豚」を手に入れたことで険悪な雰囲気は解消され、2人で仲良く肉を解体した。
ウィニー
翌日、マルク夫妻から店が襲われたとの連絡が入る。
警察は一連の事件の捜査を進めており、ヴァンサン夫妻の店を襲った犯人も特定しているという。
ヴァンサンが活動家の1人を殺害したことが発覚するのも時間の問題だ。
怖気付いたヴァンサンは、もう「イラン豚」の販売はやめると言い出した。
しかし、客は「イラン豚」目当てで来店するため、店を守るためにはヴィーガン狩りを続けるしかない。
覚悟を決めたヴァンサンは、再びヴィーガン狩りをはじめた。
回数を重ねていくうちに狩りにも慣れてきたようだ。
次の獲物は、ウィニーというぽっちゃり体型の青年。
彼はイジメや心臓病を乗りこえ、たくましく生きる心優しい人物だ。
夫妻は彼の境遇に同情したが、それ以上に上質な「霜降り肉」への期待に胸を膨らませていた。
この頃には2人とも「イラン豚」の味に病みつきになっていたのだ。
異変に気づいたウィニーは逃げ出すも、運悪く心臓発作を起こして倒れこむ。
そして「イラン豚」として夫妻に解体された。
それからヴァンサン夫妻は、マルク夫妻にウィニーの肉をふるまった。
マルク夫妻もその味を気に入った様子だ。
ところが、マルクが肉のなかからペースメーカーを発見。
ヴァンサンはウィニーがペースメーカーをつけていることに気づかず、肉を加工してしまったのだ。
怪しむマルクに対して必死に言い訳するヴァンサン夫妻。
次第にヒートアップして、ヴァンサンとマルクは取っ組み合いに。
ヴァンサンはマルクの耳を噛みちぎり、「まずい。もっと野菜を食べろ」と捨てゼリフを残すのだった。
結末
後日、ヴァンサン夫妻は獲物を求めてヴィーガン祭りに参加した。
その会場でたまたまクロエとリュカに遭遇する。
リュカは「肉屋が来る場所ではない」と夫妻を責めたて、立ち去ってしまった。
その近くには、先日の3人組の姿もあった。
ヴァンサンがふと目をやると、9歳くらいのぽっちゃりした男の子の姿が。
そして自分が小さな子どもを襲おうとしていることに気づき、これは異常だと悟った。
その夜、警察官がヴァンサンの店にやってきた。
近くを通りかかったので様子を見にきただけだったが、ヴァンサンは事件の発覚を恐れて「イラン豚」の在庫をすべて処分する。
しばらくして、今度はリュカがやってきた。
昼間のことを謝りにきたのだ。
ソフィーはリュカを「イラン豚」にしようと考えたが、ヴァンサンはそれを阻止し、彼を強引に帰らせた。
ヴァンサンはソフィーに自分たちの異常性を訴え、「イラン豚」の販売はやめようと主張。
今では愛犬のぺぺールまでヴィーガンを見ると興奮するようになっていたのだ。
しかしソフィーはそれに反対し、夫妻は対立してしまう。
翌日、ソフィーが1人で店にいると、先日の3人組がやってきた。
彼らは祭りの会場でヴァンサン夫妻が肉屋だと知り、ヴィーガンを装う目的を聞き出しにきたのだ。
3人組はソフィーを店の奥に拘束し、暴行を加える。
そしてナイフを首に突きつけたそのとき、ヴァンサンとぺぺールが駆けつけてきた。
ヴィーガンに興奮したぺぺールは3人組の1人に襲いかかる。
ヴァンサンも慣れた手つきで1人を殺害。
残りの1人と揉み合いになるが、夫妻で協力してなんとか撃退した。
最大の危機を乗り越えたことで、2人は夫婦の絆を取り戻したのだった。
その後、シリアルキラーを紹介する番組でヴァンサン夫妻が取り上げられた。
マルク夫妻の協力で2人は逮捕されたのだ。
マルク夫妻が2人に疑いを抱いたきっかけは、ウィニーのペースメーカー。
裁判で「最後に言い残すことは?」と聞かれ、ソフィーは「ウィニー」と答えるのだった。
映画『ヴィーガンズ・ハム』の感想【ネタバレあり】
精肉店を営む夫妻がヴィーガンの人を殺して、その肉を売るお話。
ブラックユーモアたっぷりでおもしろかったです。
菜食主義者と肉食主義者。
どちらが正義というわけでもなく、ただただその攻防(?)を描いた作品でした。
調理した人肉がおいしそうなのがまたよくないですね(笑)。
人間を切り刻んだり、ミンチにしたり、過激なシーンもありますが、怖さはありません。
コメディタッチで明るい雰囲気ですからね。
描写がリアルすぎないことも要因かもしれません。
登場人物たちも魅力的でした。
小心者で倫理観を捨てきれないヴァンサン。
シリアルキラー好きで、ヴィーガンズ・ハムに病みつきのソフィー。
金持ちで嫌味なマルク夫妻。
個人の信条を押しつける気はないと言いながらも、実際は押しつけまくりのリュカ。
まわりにこんな人がいたらちょっと嫌かも(笑)。
ラストは少しあっけない印象もありましたが…。
シリアルキラーを扱う番組でヴァンサンとソフィーが紹介されることになるとは。
伏線を回収してきれいな終わり方だと思いました。
気になるのは、夫妻の愛犬・ぺぺールのその後です。
ヴィーガンズ・ハムの味を知り、ヴィーガンの人間に興奮するようになったぺぺール。
夫妻の逮捕後は娘のクロエが育てることになると思うのですが…。
クロエはヴィーガンです。
もしかしたら彼女はぺぺールに襲われてしまうかも…?
とはいえ、クロエがヴィーガンになったのはリュカの影響。
事件が発覚した以上、交際を続けるのは難しいと思うので、お別れしてヴィーガンをやめているかもしれませんね。
映画『ヴィーガンズ・ハム』ネタバレ&感想まとめ
今回は、映画『ヴィーガンズ・ハム』のネタバレあらすじ&感想を紹介しました。
アウトすれすれのブラックユーモアが痛快な本作。
刺激的な笑いを求めている人はぜひ鑑賞してみてください。