日本版『CUBE 一度入ったら、最後』ネタバレ&考察!ラストシーンの意味とは?

『CUBE 一度入ったら、最後』アイキャッチ

日本版『CUBE 一度入ったら、最後』のネタバレ&考察を紹介します。

1997年公開の大人気映画『CUBE』の日本版リメイクということで注目を集めた本作。

謎の部屋に集められた男女6人。

脱出を試みるも、部屋には恐ろしいトラップが仕掛けられていて……。

ラストシーンの意味とは?CUBEの目的とは?

トラップが越智の感情に連動していたのはなぜ?

気になったシーンを考察しました。

作中では明かされなかった謎について知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

目次

映画『CUBE 一度入ったら、最後』(日本版)の作品情報

原案『CUBE』ヴィンチェンゾ・ナタリ
タイトルCUBE 一度入ったら、最後
監督清水康彦
脚本徳尾浩司
公開年2021年
キャスト菅田将暉

岡田将生
田代輝
吉田鋼太郎
柄本時生 ほか
制作国日本
上映時間108分
ジャンルホラー

映画『CUBE 一度入ったら、最後』(日本版)のあらすじ

謎の立方体、仕掛けられた恐怖のトラップ。死の迷宮から脱出せよ

謎の立方体の部屋に集められた6人の男女。

彼らは年齢も職業もバラバラで、お互いに面識もない。

部屋の上下左右にハッチがついているため、まずはハッチを開けて脱出を試みる。

しかし、ハッチの先には似たような部屋が続いており、さらには危険なトラップが仕掛けられている部屋まで存在する。

ここは一体どこなのか。彼らはなぜ集められたのか。

そして、この謎の部屋から無事に脱出することはできるのか……。

映画『CUBE 一度入ったら、最後』(日本版)の感想【ネタバレなし】

原作『CUBE』のよさを残しつつ、日本らしい仕上がり。原作ファンは物足りないかも?

まず、優陣がとにかく豪華で驚きます。

主題歌は星野源で、映画の内容にしては意外とポップだなと思いましたが…(笑)。

謎の立方体の部屋に男女が集められて、部屋にトラップが仕掛けられているという基本的な設定は原作と同じです。

ただ、本作ではそこまで過激なトラップは登場しません

原作では硫酸をかけられたり、サイコロステーキになったり、ショッキングなトラップが多かったですけどね…。

恐ろしいトラップが原作の見どころのひとつだったので、少し物足りなさは感じます。

また、CUBEの謎は原作に比べると簡略化されています。

原作の常人にはとても理解できないような謎もおもしろかったですが、難しすぎる部分もありましたからね。

簡略化されたことで見ている側もわかりやすくなったので、より作品に入り込めるのかもしれません。

それから集められた男女の人選に日本らしさを感じます。

あまり細かく書くとネタバレになってしまうので書きませんが、日本でリメイクするとこうなるのか、と思いました。

原作を知っている人はもちろん、知らない人でも楽しめる内容になっています。

以下、ネタバレを含みます

主な登場人物とキャスト

映画『CUBE 一度入ったら、最後』の主な登場人物とキャストを紹介します。

後藤裕一(演:菅田将暉)

29歳のエンジニア。

父から強い干渉を受けて育ってきました。

弟がいましたが、父からの虐待に耐えかねて自ら命を絶っており、それがトラウマになっています。

弟と千陽を重ね合わせているようです。

状況を冷静に分析していて、めちゃくちゃ頭がいい。

甲斐麻子(演:杏)

37歳の団体職員。

表情があまりなく、何を考えているのかわかりません。

実はCUBEの関係者のようです。

もしかしたら人間ですらなく、アンドロイドなのかなとも思います。

越智真司(演:岡田将生)

31歳のフリーター。

外の世界での生活がうまくいっておらず、すべて社会のせいだと思っています。

一見すると物腰やわらかな好青年ですが、時々のぞかせる邪悪な表情が怖いです。

爽やかサイコパス。

宇野千陽(演:田代輝)

13歳の中学生。

いじめが原因で心を閉ざしています。

特に大人に対する不信感が強いようです。

CUBEで後藤と行動をともにするうちに、次第に意識が変わっていきます。

井手寛(演:斎藤工)

41歳の整備士。

病気の妻を心配し、少しでも早く外に出ようと奮闘しています。

みんなの頼れるリーダー的存在。

ぶっきらぼうですが、ピンチのときに駆けつけてくれるやさしい人

安東和正(演:吉田鋼太郎)

61歳の広告代理店役員。

出世のためなら手段を選ばない、バリバリの仕事人間。

そのため、努力しない若者が大嫌いな様子です。

たぶん飲み会で「俺の若いころは〜」と武勇伝を語り出すタイプの人。

映画『CUBE 一度入ったら、最後』(日本版)の結末

映画『CUBE 一度入ったら、最後』のあらすじを結末までネタバレありで紹介します。

CUBEの法則を発見

ガスバーナーで炎が噴射される部屋。

壁から無数の針が出てくる部屋。

危険なトラップが仕掛けられている部屋はいくつも存在する。

井出のアイデアで、靴を部屋に投げ入れて安全を確認しながら進むが、一向に出口は見えない。

後藤はハッチの通路に3つの数字が書かれていることに気がつく。

この数字は何かのヒントかもしれない。

すると、千陽は「3つの数字のなかに素数が含まれている場合はトラップがある」という法則に気がつく。

6人はトラップを回避しながら進むが、どのハッチにも素数が含まれる部屋に入ってしまう。

来た道にも戻れず、仕方なくトラップが仕掛けられている部屋を通ることに。

その部屋は、音に反応してスライサーが飛び出してくるようだ。

6人はスライサーが反応しないように静かに部屋を通り抜けるが、越智がうっかり物音を立ててしまう。

それにより安東が足をケガしてしまい、安東と越智は険悪なムードになる。

その後も進み続けると、この建物は4.5m四方の立方体の部屋が積み重なった構造をしていることが発覚する。

しかも、どうやら部屋が動いているらしい。

絶望と対立、そして和解

千陽がハッチの数字を確認していると、部屋が突然動き始めた。

その振動で千陽はトラップのある部屋に落ちてしまう。

後藤と井出が助けに行き、千陽と後藤はなんとか部屋を抜け出した。

しかし、逃げ遅れた井出はトラップのレーザーに胸を撃ち抜かれ死亡した。

リーダー的存在だった井出を失い、残ったメンバーは絶望していた。

そんななか後藤は、数字が建物内の座標を表しており、あと少しで建物の端にたどり着くことを発見する。

5人が再び進み始めると、突然鉄格子が出てきて部屋を2つに分けてしまった。

そこで、後藤・千陽・甲斐と、安東・越智の2手にわかれて進むことに。

後藤・千陽・甲斐の3人は、スクリーンのある部屋にやってきた。

そこに映し出されていたのは、後藤が抱える過去のトラウマの映像

飛び降り自殺を図る弟を救おうと手を伸ばしたものの、弟の言葉に思わず手を引っ込めてしまい、助けられなかったのだ。

映像を見た千陽は後藤を責め、「自殺した弟の気持ちが僕にはわかる」と言って、トラップのある部屋に飛び降りる。

後藤は間一髪のところで千陽の腕をつかみ、引き上げた。

これをきっかけに後藤と千陽は心を通わせるようになる。

一方、安東・越智の2人は相変わらず険悪なムードだ。

2人の対立は次第に激化し、越智は安東を殺害してしまう。

結末

その後、後藤・千陽・甲斐は越智と合流する。

後藤が「安東はどうしたのか」とたずねると、越智は「トラップで死亡した」と嘘をつく。

その嘘を見破っていたのは千陽だけだった。

越智はハッチの数字を確認し、「大丈夫だ」と3人をうながす。

部屋に入ると、越智が「おかしいな。素数あったのに」とつぶやく。

彼は生きることに絶望し、死ぬくらいならいっそみんな殺してしまおうと考えて、わざとトラップのある部屋に誘導したのだ。

そして頭に血がのぼった越智は、後藤の首をしめようとする。

するとトラップが発動し、木の枝のような金属棒が越智の身体を貫いた。

千陽と甲斐は隣の部屋に逃げ込むが、部屋が動き出したため後藤はトラップのある部屋に取り残された

千陽と甲斐が入った部屋は出口へと続いていた。

甲斐は「外に出ても前と何も変わらないかもしれない。それでも進む?」をたずねる。

すると「僕が変わらなきゃ」と力強く答える千陽。

出口に向かって歩く千陽を、甲斐は笑顔で見送るのだった。

一方、後藤は全身血まみれでボロボロの状態で目を覚ます。

残った甲斐は、後藤たちのデータを解析したあと、CUBEにいる別の男女のもとへ向かうのだった。

映画『CUBE 一度入ったら、最後』(日本版)の感想【ネタバレあり】

冒頭に登場する、柄本時生が演じる名もなき男の掴みが最高でした。

身体を立方体状にくり抜かれるのが衝撃的です。

この先どんなトラップが待っているのだろうとワクワクしましたが、グロさはこれがピークですね。

個人的に本作は何か物足りないと思ってしまいました。

原作にあった、集められた人間の職業や能力とCUBEの関連性や、極限状態での裏切りや争いが好きだったので…。

でも現代の日本社会を反映したような設定はおもしろかったです。

これは日本版リメイクならではの良さだよね。

それから豪華俳優陣の演技が素晴らしいです。

イチオシは柄本時生なのですが、越智を演じる岡田将生もすごいです。

越智には最初から違和感というか、なんか変だなと感じていたのですが、本当にやばいヤツでした。

好青年を演じているけど、実はやばいヤツ感がにじみ出ていました。

安東を演じる吉田鋼太郎は、完全によくいる嫌なおじさんでした。

吉田鋼太郎ってあんまり嫌な役を演じているイメージはなかったのですが…。

役に入るとこんなに嫌なヤツになるんですね。

ストーリーというよりも、俳優陣の演技に注目して見てしまいました。

映画『CUBE 一度入ったら、最後』(日本版)の考察

映画『CUBE 一度入ったら、最後』で気になったシーンを考察しました。

考察1:ラストシーンの意味は?CUBEの目的は?

ラストシーンでは、千陽のみがCUBEから脱出。

死亡したと思われた後藤は生きている(生き返った?)様子が映し出されました。

結局CUBEの目的は明かされなかったのですが、なぜあの6人は集められたのでしょうか。

それは、現代の日本社会が抱える問題を解決するために行動データを収集することが目的なのではないかと思います。

親からプレッシャーをかけられ、弟の自殺を止められなかった後藤。

学校でひどいいじめを受ける千陽。

自身の境遇を社会のせいにする越智。

会社のためにさまざまなものを犠牲にした安東。

病気で先の短い妻を持つ井手。

甲斐を除く5人はそれぞれ問題を抱えています。

そして、CUBEのなかで大人に対する不信感、世代間の対立が生まれます。

トラウマ、自殺、いじめ、病気、世代間の対立

これらはまさに現代の日本が抱えている問題であり、CUBEは日本社会の縮図なのです。

日本社会の縮図であるCUBEのなかで、人々がどのような行動をとるのか。

深刻化した問題の解決のため、データを収集することがCUBEの目的なのでしょう。

では、千陽と後藤はなぜ生き残ったのでしょうか。

まずは後藤と心を通わせ、自分が変わらなくてはという意識を持った千陽。

千陽は社会問題解決に必要な人材であると判断されたため、解放されたのだと思います。

そして後藤は、千陽の意識を変えるきっかけとなった人物です。

千陽のような人材をもっと輩出するにはどうすればよいか、データを集める目的でCUBEに残されたのだと考えます。

考察2:トラップが越智の感情に連動していたのはなぜ?

CUBEのトラップが越智の感情に連動して作動するシーンが度々見られました。

では、越智の感情に連動してトラップが発動していたのはなぜでしょうか。

越智もCUBE側の人間かと疑ったけど、そうではなさそう。

その理由は、感情がたかぶって危機的な状況になったときに、人間がどのような行動をとるかデータを収集するためではないでしょうか。

越智は31歳。これからの日本社会を担っていく世代です。

そうした若者世代に社会(=CUBEのトラップ)を動かす力を与えてみた、と考えてもいいかもしれません。

そして実際に社会を動かしたときに、同世代やほかの世代の人間が助け合えるのかを測っていたと考えられます。

しかし、最後はその力が越智自身を破滅に導いてしまったのが皮肉なものです。

日本版『CUBE 一度入ったら、最後』ネタバレ&考察まとめ

今回は、日本版『CUBE 一度入ったら、最後』のネタバレ&考察を紹介しました。

原作『CUBE』に日本社会の要素を入れてリメイクされた本作。

現代の日本社会と照らし合わせながら見ると、また新しい発見があるかもしれません。

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