Netflix映画『慈悲』(2016)のネタバレあらすじ&感想・見どころを紹介します。
死期が近づいた母のもとに集まった家族。
そこへ突然押し入ってきた謎の集団の狙いとは?
『慈悲』の内容が気になっている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
Netflix映画『慈悲』(2016)の作品情報
原題 | Mercy |
タイトル | クリス・スパーリング |
監督 | クリス・スパーリング |
脚本 | ヴィクラム・ウィート |
公開年 | 2016年(Netflixオリジナル作品) |
キャスト | コンスタンス・バロン ダン・ジスキー ジェームズ・ウォーク トム・リピンスキー マイケル・ゴダー マイケル・ドノヴァン ほか |
制作国 | アメリカ |
上映時間 | 90分 |
ジャンル | サスペンス |
Netflix映画『慈悲』(2016)のあらすじ【ネタバレなし】
謎の集団による突然の襲撃。病気の母と家族たちの運命は…
病気で死期が近づいた母のもとに集まった異父兄弟の4人。
母が持つ莫大な財産をめぐって、父と兄弟たちはいがみ合っていた。
医者から「母の苦痛を取り除く薬」を受け取ったが、彼らは使用を拒否している。
その夜、謎のマスク集団が家に押し入り、彼らに襲いかかってきた。
この集団は何者なのか、その目的とは?
家族はこの窮地を切り抜けられるのか……?
Netflix映画『慈悲』(2016)の感想【ネタバレなし】
ラストシーンが秀逸!少し間延び感はあるものの、予想外のオチがお見事!
母のお見舞いに集まった異父兄弟たち。
不穏な空気がただよっているなぁと思ったら、謎のマスク集団による突然の襲撃。
彼らの正体や目的が明かされないまま話が進むので、「何を見せられているんだ?」と思ってしまいました。
初期段階での情報量が少ない…。
しかし、最終的には事の全容が見えて納得。
ラストシーンがとにかく秀逸です。
『慈悲』というあっさりしたタイトルなので、興味を持つ人は少ないかもしれませんが…。
Netflixオリジナル作品はあなどれません。
ただ、情報が出てくるまでが長すぎて、置いてけぼりを食らってしまうのが惜しいところ…。
もう少し状況が把握できるような説明があるとうれしいなと思いました。
でもタイトルや伏線の回収の仕方はお見事です。
以下、ネタバレを含みます
主な登場人物とキャスト
Netflix映画『慈悲』(2016)の主な登場人物とキャストを紹介します。
グレース(演:コンスタンス・バロン)
病気を患い、死期が近づいている老女。
1番目の夫・ブラッドリーと死別した際、莫大な遺産を相続しました。
ブラッドリーとの間に息子2人、2番目の夫・ジョージとの間にも息子2人、合わせて4人の息子がいます。
ジョージ(演:ダン・ジスキー)
グレースの2番目の夫。
気難しく、頑固な性格です。
グレースの連れ子であるトラヴィスとブラッドのことはあまりよく思っていない様子。
ブラッド(演:ジェームズ・ウォーク)
グレースと1番目の夫の息子。
4人の異父兄弟のなかではいちばん温厚な性格。
トラヴィス(演:トム・リピンスキー)
グレースと1番目の夫の息子。
何度も刑務所を出入りしていて、2週間前に出所したばかりです。
ロニー(演:マイケル・ゴダー)
グレースとジョージの息子。
ケンカっぱやく、すぐに悪態をつくひねくれ者。
お金に困っていて、誰よりもグレースの遺産を狙っています。
TJ(演:マイケル・ドノヴァン)
グレースとジョージの息子。
ケンカっぱやいロニーを止めるのは彼の役目です。
メリッサ(演:ケイトリン・フィッツジェラルド)
ブラッドの恋人。
詳しい事情は聞かされていませんが、ブラッドの支えになればとお見舞いに同行しました。
Netflix映画『慈悲』(2016)のあらすじ【ネタバレあり】
Netflix映画『慈悲』(2016)のあらすじを結末までネタバレありで紹介します。
襲撃
ある日、ジョージの家に医者がやってきた。
病気で苦しむグレースの「苦痛を取り除く薬」を持ってきたのだ。
ジョージが家に入れるのを拒むと、医者は「家族でやるべきだ」と薬を彼に預けて渋々立ち去った。
その夜、家にグレースの4人の息子とメリッサがやってきた。
ジョージは「家族がやるべきだとしても、例の薬を使わないこと」を息子たちにあらためて確認。
「心の準備ができていない」と不安そうなブラッドに、ロニーが突っかかる。
そして、ロニーはメリッサに「あんたは事の真相をわかっていない」と言い放つのだった。
詳しい事情を知らないメリッサは、ブラッドにその意味をたずねる。
彼は「例の薬を使えば母の苦痛を取り除けるが、複雑な事情がある」と答えた。
「行き着く先が同じなら楽にしてあげるべき」だとメリッサは主張したが、ブラッドは一方的に話を終わらせた。
真夜中、ブラッドは大きな物音で目を覚ました。
トラヴィスを起こしてリビングへ様子を見にいくと、突然の停電。
寝室にロニーとTJの姿はない。
しかも、外に停めていた車のタイヤがパンクさせられている。
そのとき、家の外でメリッサの悲鳴が。
すぐに駆けつけると、家の前にある森のなかから突然謎のマスク集団が現れる。
ブラッドたちは慌てて家へ逃げ込み、内側からバリケードをつくって母の寝室に立てこもった。
要求
マスク集団は家へ侵入し、寝室のドアを激しく叩いていたが、一旦引き下がったようだ。
母のベッドの上には、ゴミ箱に入れたはずの例の薬がなぜか置かれていた。
窓の外を見ると、庭に炎で「MERCY」の文字をつくり、こちらをじっと見つめるマスク集団の姿。
それを見たトラヴィスは、彼らが例の薬を使うことを要求しているのだと悟る。
要求に従おうとするトラヴィスを必死に止めるブラッド。
「薬を使えば僕らはどうなる?」と不安を訴える。
トラヴィスは仕方なく薬を使うのを止め、警察を呼ぶことに。
おそるおそる寝室から出て、自室にスマホを取りに行くが、見つからない。
マスク集団に取られてしまったようだ。
そこで、外にあったバイクに乗って直接助けを求めに行くことにした。
ちょうどそのとき、母の寝室に残ったブラッドとメリッサにマスク集団が襲いかかる。
2人は必死に抵抗し、窓からマスク集団を突き落とした。
しかし、2人を助けるために引き返してきたトラヴィスは、マスク集団に殺されてしまった。
マスク集団
ここで時間が戻り、マスク集団の視点に切り替わる。
彼らは夕方の時点で家の周辺に潜伏していた。
家族が寝静まった頃、家のなかへ侵入。
ゴミ箱にあった例の薬を回収し、グレースの寝室へ向かう。
そのとき、ジョージに見つかってしまい、階段の上で彼らは揉み合いに。
バランスを崩したジョージは階段から転落し、死亡してしまった。
ブラッドが聞いたのは、この音だ。
その頃、TJはリビングで1本の古いビデオテープを見つける。
それは「新生教会」という宗教団体の紹介ビデオだった。
ビデオに映っているのは若かりし頃のグレース。
グレースは新生教会の重要人物なのだ。
何かに気づいたTJは、玄関の様子を見にいく。
すると、背後からマスク集団に襲われ、森のなかへ連れ去られてしまった。
同じ頃、トイレに立ったロニーも異変に気づく。
マスク集団を返り討ちにしようとするも、揉み合った際にバスタブの角に頭をぶつけて死亡。
ロニーの遺体はバスタブのなかに隠された。
その後の出来事はブラッドたちが見たとおり。
結末
実は、マスク集団は新生教会のメンバーだ。
襲撃の目的は、重要人物であるグレースを苦しみから解放すること。
家族を傷つけるつもりはなく、結果的にジョージたちを殺害してしまったことを激しく後悔していた。
夜が明けて、ブラッドとメリッサが母の寝室を出ると、マスク集団がリビングで待ちかまえていた。
2人は慌てて引き返すが、メリッサがマスク集団に捕まってしまう。
ブラッドは彼女を見捨てて、そのまま母の寝室へ。
追いかけてきたマスク集団はドアを激しく叩く。
今にも壊れそうなドアを見て、ブラッドは例の薬を使うことを決意。
躊躇しつつも、母に薬を投与する。
例の薬の正体は「回復介助治験薬(MERCY)」。
グレースの治療薬だ。
そこへドアを壊したマスク集団が入ってきて、グレースを運び出す。
ブラッドと目を合わせたグレースは、無表情のまま何も言わなかった。
そして、マスク集団の1人がブラッドに向けて銃の引き金を引くのだった。
Netflix映画『慈悲』(2016)の感想【ネタバレあり】
例の薬がまさか治療薬だったとは…。
ラストシーンで薬の正体、「MERCY」の意味がわかって「やられた!」と思いました。
完全に安楽死の薬だと思っていたよ…。
中盤までと終盤とでは、思っていた闘いの構図がガラリと変わります。
<中盤まで思っていた構図>
母を最期まで看取りたい家族
vs
安楽死させたい謎の集団
<終盤で明らかになった構図>
遺産欲しさに母を治療したくない家族
vs
重要人物を治療したい新生教会
たしかに、例の薬が安楽死させるためのものだとは一言も言っていません。
先入観や登場人物のさまざまな言動にミスリードされてしまいました。
- 家族は母が長生きすることを望むはずだという先入観
- 医者にケンカ腰なジョージの態度
- ブラッドの「複雑な事情がある」という発言
- メリッサの「行き着く先が同じなら楽にしてあげるべき」という発言
↑彼女も安楽死の薬だと勘違いした?
重要人物を救うためなら手段を選ばない新生教会。
おそらく当初は誰にも気づかれずにこっそり侵入し、薬を投与する予定だったのでしょう。
しかしジョージと揉み合いになり、殺害してしまいます。
想定外の出来事に、マスクの集団は「ああ、なんてことを…」という素振りを見せていました。
こうなってしまったからには一家を全滅させる方向に動きます。
彼らにとっては「教会の重要人物の命>その他の命」。
教会を守るという大義のためならどこまでも残酷になれるのでしょう。
そして、ラストシーンでブラッドを見る母の表情が怖かったです。
自分が苦しんでいるなか、薬は使わないだの、遺産がどうだの言われたら恨みたくもなりますよね。
きっと新生教会で余生を過ごすんだろうね。
家族はもういないので、もしかしたら遺産は新生教会に寄付するのかもしれません。
そうなると、ますます力をつけたこの狂気の集団がまた何かやらかしそうで怖いです。
大義のためなら一家を全滅させる過激な宗教団体ですからね…。
ただ全体的に画面が暗いので、何が起こっているのかよくわからなかった部分も。
あとロニーとTJが似ていて見分けがつかない…。
なぜか2人とも短髪黒髪のヒゲ男なんですよ…。
あらすじのビデオを見ていた彼と、トイレで襲われた彼、もしかしたら逆かもしれないです。すみません…。
見どころ:薬の正体がわかる前後で変わる見方
本作の見どころは、例の薬が「安楽死の薬」か「治療薬」か、薬の正体によって登場人物の印象が大きく変わるところ。
特にブラッドとトラヴィスの対比が印象的です。
彼女同伴で一見やさしそうなブラッドと、刑務所帰りで悪人感のあるトラヴィス。
新生教会の「MERCY」という火文字を見たシーンを例にとってみましょう。
トラヴィスは薬を使おうと言いますが、ブラッドは断固拒否。
そしてブラッドは「薬は効くだろうが、それを使ったら俺らはどうなる?」と言います。
<安楽死の薬としての見方>
- ブラッド→母を守ろうとしている
- トラヴィス→母を見捨てようとしている
- 「俺らはどうなる?」→安楽死とはいえ、殺人犯になってしまう
<治療薬としての見方>
- ブラッド→遺産を諦めきれず、母の回復を拒んでいる
- トラヴィス→遺産を諦めて母を治療しようとしている
- 「俺らはどうなる?」→遺産がもらえなかったら困る
一見いい人そうに思えたブラッドがいちばん意地汚いヤツでした。
こんなに追い込まれた状況でも遺産にこだわるブラッド、ものすごい執着心です。
さらに恋人のメリッサを見捨てるなんて、救いようがありません。
トラヴィスが何度も刑務所に入っている悪いヤツというミスリードにしっかり引っかかってしまいました。
このように、オチがわかったあとで登場人物の言動を振り返ってみると、おもしろい発見があります。
Netflix映画『慈悲』(2016)のネタバレまとめ
今回は、Netflix映画『慈悲』(2016)のネタバレあらすじ&感想・見どころを紹介しました。
先入観と巧みなミスリードによるラストの裏切りが痛快な本作。
家族とマスク集団の両方の視点を見られるのがおもしろかったです。