映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』のネタバレ感想&考察を紹介します。
本作は、イタリア映画『おとなの事情』のフランス・ベルギー版リメイクです。
スマホを見せ合ったことで崩れていく愛情、友情。
韓国版との違いは?ラストシーンの意味とは?
気になったシーンを考察しました。
フランス・ベルギー版ではどんな秘密が明かされたのか気になっている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』の作品情報
原題 | Le Jeu |
タイトル | ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~ |
監督 | フレッド・カヴァイエ |
脚本 | フレッド・カヴァイエ |
公開年 | 2018年 |
キャスト | ロシュディ・ゼム スザンヌ・クレマン ステファン・ドゥ・グルート ベレニス・ベジョ ヴァンサン・エルバズ ほか |
制作国 | フランス べルギー |
上映時間 | 93分 |
本作は、2016年に公開されたイタリア映画『おとなの事情』のフランス・べルギー版リメイクです。
韓国版リメイク『完璧な他人』の感想&考察はこちら。
映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』のあらすじ
スマホは人間関係のブラックボックス。人には知られたくない秘密とは?
皆既月食の日、ホームパーティーでヴァンサン夫妻宅に集まった3組の夫婦と1人の男性。
会話の流れでお互いのスマホに届いた電話やメッセージを見せ合うゲームをすることに。
ただの遊びのつもりで始めたが、次第にお互いの秘密が暴かれていき……。
映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』の感想【ネタバレなし】
ユーモア満載。ドロドロしつつも韓国版と比べて軽い仕上がり!
人のスマホを見たって何もいいことはありません。
あれこれ秘密が暴露されていき、取り返しのつかないことに…。
大筋は韓国版と変わりませんが、ちょこちょこお国柄が出ていました。
個人的には韓国版のほうが好みだったのですが、本作もいい感じにドロドロしていておもしろかったです。
笑って見ていられる感じの秘密でした。
韓国版は毒がかなり強いので、サクッと楽しみたい人には本作のほうが合うかもしれません。
以下、ネタバレを含みます
登場人物それぞれの秘密とキャスト
映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』の主な登場人物が抱えている秘密をまとめました。
また、それぞれのキャストも合わせて紹介します。
マルコ(演:ロシュディ・ゼム)
シャルロットの夫。夫婦仲は冷え切っています。
神経質で、マザコン気味。少し毒舌です。
<マルコの秘密>
- 毎晩10時に知人女性から際どい写真が送られてくる
- ゲイ(実際は違うが、ベンとスマホを交換したため誤解された)
- ベンをサッカーの試合に誘わなかった
シャルロット(演:スザンヌ・クレマン)
マルコの妻。
義母とソリが合わず、生活に疲れきっています。
<シャルロットの秘密>
- 義母を施設に入れようとしている
- ネットで知り合った男性と連絡を取り合っている
- 下着を身につけないことでスリルを味わっている
ヴァンサン(演:ステファン・ドゥ・グルート)
マリーの夫。整形外科医をしています。
娘の教育方針の違いから妻とケンカしてしまうことも。
料理が好きみたいですが、あまり上手ではないようです。
<ヴァンサンの秘密>
- 心理カウンセリングに通っている
- 彼氏がいる娘のためにコンドームをわたした
- ベンをサッカーの試合に誘わなかった
マリー(演:ベレニス・ベジョ)
ヴァンサンの妻。精神科医をしています。
娘を想うあまり、つい厳しくなってしまうようです。
<マリーの秘密>
- 豊胸手術を予定している
- トマと不倫している(仲間にはバレなかった)
トマ(演:ヴァンサン・エルバズ)
レアの夫。タクシー運転手です。
新婚のため、人目にかまわずイチャイチャしています。
おふざけキャラのプレイボーイ。
<トマの秘密>
- 不倫相手を妊娠させた
- マリーとも不倫している(仲間にはバレなかった)
- ベンをサッカーの試合に誘わなかった
レア(演:ドリア・ティリエ)
トマの妻。エステサロンで働いています。
情に厚く、困っている人を放っておけないタイプ。
<レアの秘密>
- 元カレと連絡を取り合っている
ベン(演:グレゴリー・ガドゥボワ)
バツイチ。仲間のなかで唯一の独身者です。
体育教師をしていましたが、ゲイであることを理由にクビになってしまいました。
イジられキャラのため、少しかわいそうな役回り。
<ベンの秘密>
- ゲイ
- 現在、男性と交際している
映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』の結末
スマホを見せ合ったことで、それぞれの秘密が次々と明らかになっていく。
お互いのことが信じられなくなった夫婦たちは離婚の危機に。
ベンの秘密が明かされたことで、友情にも亀裂が入ってしまった。
参加者たちは、修羅場と化したヴァンサン夫妻宅を後にする。
それはちょうど月食が終わる頃だった。
しかし、家から出てきた参加者たちは先ほどまでの出来事がなかったかのように笑顔だ。
彼らはそれぞれの秘密を胸の内に隠したまま、帰路につくのだった。
映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』の感想【ネタバレあり】
マルコたちも言っていましたが、本作に登場する料理があまりおいしくなさそうなんですよね。
韓国版ではおいしそうだったのに…(笑)。
フォアグラのミルク煮ってどういう味がするんでしょう。
牡蠣のイカ墨ソースがけを見て「重油で汚染されてるの?」と言うマルコには笑いました。
でもチーズはとてもおいしそうでした。
日本ではあんなふうにどさっとチーズを出してみんなで食べる習慣がないので、ちょっとあこがれます。
料理の話ばかりになってしまいましたが…。
やっぱり人のスマホなんて見るものではありません。
元カレと連絡を取り合っているレアの秘密なんてかわいいものです。
トマはいったい何人と不倫しているのでしょう。
自分がさんざん不倫しておいて、よくレアに怒れたなと思ってしまいました。
それと、いつまで経っても写真を撮れないベンが少しかわいそうになりました。
映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』の考察
映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』の韓国版との違いや、気になったシーンを考察しました。
考察1:韓国版との違い
登場人物が抱える秘密や話の流れは、韓国版の『完璧な他人』と大きな違いはありません。
韓国版は毒が強かったのですが、本作はややマイルドな印象です。
韓国版にあって、フランス版になかった秘密は以下の2つ。
- 投資詐欺
- 交通事故
この2つの秘密が登場しないのは、おそらく隠し通すことができず、いずれ発覚してしまうからでしょう。
考察2で後述しますが、フランス版では「皆既月食の間に起こる出来事は、心に秘められたままになる」ことになっています。
「投資詐欺」と「交通事故」はこの条件に合わないのです。
韓国版では「皆既月食になると呪いがかかる」というものだったため、秘密が発覚することは問題ではありませんでした。
考察2:ラストシーンの意味は?
ヴァンサン夫妻宅を後にした一行は、何事もなかったかのように帰路につきます。
ゲームによって離婚の危機という状態に陥っていたのに、なぜでしょうか。
皆既月食の間におこなわれたゲームは実際の出来事ではなく、空想の世界あるいは並行世界で起きた出来事だったのです。
注目すべきは、本作の冒頭に流れる皆既月食についてのニュースの内容。
ニュースキャスターは次のように言います。
「語り継がれている。
皆既月食の間、信じられない事が起きる、と。
月が闇に隠れた瞬間、時間は止まり、
どんな深い罪も葬り去られ心から永遠に閉ざされる。」
これは本作の結末を物語っているのでしょう。
彼らの秘密は永遠に明かされることはないのです。
ラストも韓国版と違いはありませんが、現実世界の出来事ではないことが本作のほうがよりわかりやすくなっていました。
螺旋階段を駆け降りるトマ、後悔の言葉を口にするマルコ夫妻、言葉を失うヴァンサン夫妻とベン。
皆既月食の終わりとともに現実世界に戻っていく演出がよかったです。
考察3:トマとマリーの関係の伏線
映画終盤、マリーがトマにピアスを返すシーンで、2人の不倫が発覚します。
実はこのシーン以前にも、2人の関係を匂わせるシーンがありました。
(1)トマ夫妻が到着したシーン
到着早々に目の前でイチャつくトマとレアに対して、マリーは「ほどほどにして」と嫌そうな表情を浮かべています。
(2)ベンのエピソードトーク
ベンのエピソードトークのなかで、トマは「不倫しているのにスマホをロックしていないなんて」と言います。
それに対して「あなたはしているんでしょ?」と言うマリー。
少し動揺を見せながらもトマは「もちろん」と答えます。
このように何気ない会話のなかにも伏線が張り巡らされているのが本作のおもしろいところです。
映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』まとめ
今回は、映画『ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~』のネタバレ感想&考察を紹介しました。
軽い気持ちで始めたゲームから、まさかこんな修羅場になるなんて…。
ブラックユーモアたっぷりの作品でした。