日本版リメイク映画『最後まで行く』のネタバレあらすじ&感想・考察を紹介します。
ひき逃げ事故起こしてしまった1人の刑事。
遺体の隠蔽を図るも、謎の人物から脅迫を受けることになり…。
作中に登場する砂漠のトカゲとは?
ラストシーンの意味とは?
『最後まで行く』の内容や、作中ではっきりと描かれなかったシーンの意味が気になっている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
日本版リメイク映画『最後まで行く』の作品情報
⑆⑆ 映画『#最後まで行く』 ⑆⑆
— 映画『最後まで行く』大ヒット上映中! (@saigomadeiku_mv) March 13, 2023
⑆⑆ 本ポスター解禁 ⑆⑆
危機、裏切り、罠、
そして最後に待ち構える衝撃のラスト…
❰予測不可能の物語が遂に始まる❱
ーマズい男 VS ヤバい男ー
“最後まで”予測不可能の
ノンストップエンターテインメント💥
🎬5.19公開#岡田准一 #綾野剛
監督 #藤井道人 pic.twitter.com/ykqCdCAVCX
タイトル | 最後まで行く |
監督 | 藤井直人 |
脚本 | 平田研也 藤井直人 |
公開年 | 2023年 |
キャスト | 岡田准一 綾野剛 広末涼子 柄本明 磯村勇斗 ほか |
制作国 | 日本 |
上映時間 | 118分 |
ジャンル | サスペンス |
日本版リメイク映画『最後まで行く』のあらすじ【ネタバレなし】
ひき逃げの隠蔽からはじまる最悪の4日間。
ある夜、刑事の工藤は危篤の母のもとへ車を飛ばしていた。
その途中、1人の青年を車ではね飛ばしてしまう。
焦った工藤は遺体をトランクに入れて持ち去り、事故の隠蔽を図る。
ところが、事故を目撃した何者かから脅迫を受けることに。
工藤に執拗に迫る人物の目的とは?
そして、追いつめられた工藤の行く末とは……?
日本版リメイク映画『最後まで行く』の感想【ネタバレなし】
状況が悪化するほどおもしろい!極限状態で展開するクライムサスペンス!
とにかく運が悪すぎて、何から何まで全部悪いほうへ転がっていくのがおもしろかったです。
主人公の工藤はどうにかしようと必死なのですが、そのすべてが間違っているという…。
工藤が可哀想な目に遭うほどおもしろい(笑)。
俳優陣の演技もまたお見事。
岡田准一の顔芸や綾野剛の得体のしれない怖さ、柄本明の闇深さなど、絶妙なキャスティングでした。
本作はサスペンスでもあり、ミステリーでもあり、ホラーでもあり、コメディでもあります。
緊張感がありながらも、クスッと笑えるシーンも多かったです。
前半はほとんどコメディかも?
テンポもよく、まったく飽きません。
怒涛の展開が続くので、最後までワクワクさせられました。
以下、ネタバレを含みます。
主な登場人物とキャスト
日本版リメイク映画『最後まで行く』の主な登場人物とキャストを紹介します。
工藤祐司(演:岡田准一)
埃原署刑事課所属。
飲酒運転をしたり、暴力団から裏金を受けとったり、普段から素行の悪い悪徳刑事。
妻・美沙子とは離婚寸前の状態です。
でも娘・美奈のことはとても大事にしていて、美奈もなついています。
矢崎貴之(演:綾野剛)
埃原署監察課所属。
県警本部長・植松の1人娘と婚約していて、エリート街道まっしぐら。
普段はクールですが、野心が強く、キレたら手に負えないタイプの人。
工藤美沙子(演:広末涼子)
工藤の妻。
夫とは別居中で、娘の美奈と2人で生活しています。
いつも夫に振りまわされることにうんざりしている様子。
仙葉泰(演:柄本明)
仙葉組組長。
工藤を含む埃原署の関係者とつながりがあり、裏金をわたしています。
尾田創(演:磯村勇斗)
裏社会で生きるチンピラ。
とある隠し金庫の鍵を握る重要人物。
日本版リメイク映画『最後まで行く』のあらすじ【ネタバレあり】
日本版リメイク映画『最後まで行く』のあらすじを結末までネタバレありで紹介します。
最悪のはじまり
12月29日、工藤は危篤の母が待つ病院へ車を走らせていた。
そこへ課長の淡島から着信が入り、工藤が暴力団組織・仙葉組から裏金を受け取ったことが週刊誌にバレたと聞かされる。
これまでにほかの人間も裏金を受け取ってきたが、上層部は工藤だけに責任を押しつけるつもりなのだ。
さらに妻の美沙子から着信が入り、母が亡くなったと聞かされる。
すると工藤の車の前に突然1人の男性が飛び出してきて、はね飛ばしてしまった。
パニックになった工藤は、とりあえず車のトランクに遺体を隠すことに。
そのまま車を走らせていると、運悪く飲酒検問に捕まってしまう。
工藤はなんとか見逃してもらおうとするが、交通課の梶は車内を強引に調べようとする。
梶は素行の悪い工藤に目をつけていたからだ。
工藤が必死に抵抗していると、そこへ監察課の矢崎がやってきた。
彼は工藤から裏金の件で話を聞くため、埃原署まで同行してほしいという。
工藤は母が亡くなったと話し、あとで必ず署へ向かうと約束すると、逃げるように病院へ向かった。
そのため、矢崎は埃原署で工藤を待つことに。
監察課がやってきたことで署内の空気がピリつく。
ところが、工藤から葬儀の手続きがあるため署には明日行くと連絡が入った。
一方、葬儀場で手続きを終えた工藤は、トランクの遺体をどう処理するか頭を抱えていた。
そこへ淡島と同僚の久我山がやってくる。
裏金の件で口裏を合わせにきたのだ。
梶から飲酒検問で揉めた話を聞いていた久我山は、工藤がなにか隠していると感じ、いきなり車内を調べはじめた。
しかし、久我山たちが到着する直前で遺体を葬儀場の通気口に隠していたため、見つかることはなかった。
砂漠のトカゲ
12月30日の朝、工藤は埃原署へ向かう途中でわざと衝突事故を起こして車を修理に出した。
昨日の事故の証拠を隠蔽する作戦だ。
署に到着すると、矢崎が待っていた。
裏金の件は揉み消してくれるとのことだが、工藤の表情は晴れない。
その後、葬儀場へ向かった工藤はとんでもないことを思いつく。
母が眠る棺桶のなかに男性の遺体を入れ、一緒に火葬しようと考えたのだ。
夜、1人で棺桶の番をするフリをして、さっそく行動を起こす。
天井裏のダクトを通って遺体を運ぶ工藤。
途中で警備員と業者がやってきてバレそうになるが、どうにかごまかして無事に遺体を棺桶へ入れた。
しばらくして仙葉組の仙葉がやってきた。
工藤の母は地方のスナックで働いており、仙葉は客として面識があったからだ。
仙葉は工藤にこんな話をする。
ある砂漠にトカゲがいた。
地面が熱いため、トカゲは足をひょこひょこさせながら死ぬまでそこでじっとしている。
熱いなら砂漠から出ればよいのに、出ようとはしないのだ。
工藤が「何の話だ」と毒づくと、仙葉は「砂漠から出るには大金が必要だ」と答える。
そして、その金は善明寺にあると。
善明寺は政治家の資金洗浄を請け負っており、隠し金庫に大金が眠っている。
最近、金庫番の尾田という男が金を持ち逃げしたらしい。
警察が尾田を見つけて芋づる式に関係者を逮捕してくれれば、その事業を仙葉組が引き継ぐという算段だ。
つまり工藤が尾田を見つければ、その見返りとして金を受け取れるということだろう。
脅迫
12月31日、工藤からの情報提供により、警察は尾田の身柄を確保することになった。
手配書に掲載された尾田の顔写真を見た工藤は愕然とする。
なんと、おととい車ではねてしまった男性が尾田だったのだ。
ひとまず尾田の隠れ家へ向かった埃原署の一行だったが、当然そこに尾田の姿はない。
工藤が隠れ家の周辺を見回っていると、道端でカラの薬莢を見つけた。
そこはまさに工藤が尾田をはねた現場だ。
不思議に思っていると、工藤の携帯に何者かから「お前が尾田を殺したことを知っている」とメッセージが入る。
さらにその付近で監視カメラが見つかり、さっそく映像を確認することに。
絶体絶命のピンチだ。
監視カメラの映像に工藤の車は映っていたが、尾田をはねるところまでは映っていなかった。
しかも画質が悪いため車の特定も難しそうだ。
これに安心した工藤は母の葬儀へ向かった。
車を降りようとしたとき、謎の男から着信が入る。
男はすべて知っていると脅しをかけるが、工藤はカマをかけて一方的に電話を切ってしまった。
すると突然、矢崎が工藤に殴りかかってくる。
工藤を脅していたのは矢崎だったのだ。
矢崎は工藤の娘・美奈を人質にとり、今日の17時に尾田の遺体を持ってこいと告げて立ち去ってしまった。
裏側
ここで時は12月28日に戻る。
その日、矢崎は善明寺の隠し金庫の鍵を持って逃走した尾田を捜していた。
金庫は鍵と矢崎の指紋の二重認証になっているため、金を取り出すには尾田の持つ鍵が不可欠だ。
矢崎は植松本部長から年内に尾田を捕まえるように圧力をかけられていた。
年始には善明寺で浄化した金を政治家にわたす予定になっているからだ。
追いつめられた矢崎は、仙葉に尾田の捜索を依頼することに。
翌12月29日、この状況で矢崎の結婚式が執り行われた。
相手は植松本部長の1人娘・由紀子だ。
式の合間にも矢崎は植松から圧力をかけられる。
そこへ式場のスタッフが新郎新婦の手形のオブジェをつくるためと言って、矢崎の手形をとりにきた。
ところが、お色直し後に別のスタッフがオブジェをつくると言って再びやってきた。
ここで矢崎と植松は、1人目のスタッフが尾田の差し金だったと気がつく。
隠し金庫を開けるために矢崎の指紋をとりにきたのだ。
焦った矢崎は、仙葉から情報を得て尾田の隠れ家へ向かった。
尾田は隙をついて逃げ出したが、矢崎は拳銃を発砲しながら追いかける。
背中に弾が命中し、道路に飛び出すかたちで倒れこむ尾田。
そこへちょうど走ってきた工藤の車がはね飛ばしてしまう。
工藤が尾田の遺体を持ち去ったせいで、矢崎は鍵を取り戻せなくなってしまった。
反撃
時は再び12月31日に戻る。
工藤は母の棺のなかから尾田の遺体を回収するため、火葬場へ向かった。
そこへ久我山がやってきて、「何を隠しているのか」と工藤を問いつめる。
実は、別の監視カメラ映像で尾田の隠れ家付近で映っていた車が工藤のものだと判明していたのだ。
あきらめた工藤は事情を説明し、尾田の遺体を運ぶのを手伝ってもらうことに。
その後、尾田の協力者である女性から隠し金庫の解錠方法を聞き出した。
矢崎が尾田の遺体を要求する理由は、解錠時に鍵と尾田の指紋も必要だからだ。
この最悪の状況で、久我山は美奈を取り戻すために工藤に協力することを約束する。
ところが、久我山は矢崎に殺されてしまった。
矢崎と決着をつけるため、工藤は尾田の遺体から指を切り取り、仙葉から爆弾を仕入れて約束の場所へ向かう。
そして尾田の遺体に爆弾を隠して矢崎にわたし、無事に美奈を取り戻した。
去り際、「お前と俺はよく似ている。俺を手伝え」と言う矢崎に、工藤は「くたばれ」と答える。
その直後、矢崎を巻きこんで爆弾が爆発した。
結末
夜、美沙子のもとへ美奈を送り届けた工藤は、隠し金庫へ向かった。
金庫を開けると、なかには膨大な量の札束。
工藤は「この金があれば何でもできる」と思わず息をのむ。
そこへボロボロの矢崎が現れ、工藤に襲いかかる。
彼は生きていたのだ。
工藤は銃で撃たれて重傷を負いながらも、なんとか金庫から抜け出した。
なおも2人の激しい格闘は続く。
年が明ける頃、ようやく矢崎は動かなくなった。
息をつく工藤だったが、仙葉に背後から突然スタンガンを当てられて気絶してしまった。
仙葉はつぶやく。
「裏金の件を週刊誌にタレこんだのは俺だ」
「仙葉組は資金繰りに困っていたが、2人のおかげで金を調達できた」
すべては仙葉が仕組んだことだったのだ。
彼にとって工藤と矢崎は砂漠のトカゲに過ぎない。
ちなみに尾田の協力者の女性は仙葉とグルだ。
夜が明けて、目を覚ました工藤は車に乗りこみ、美沙子に電話をかける。
「もう一度やりなおしたい」と告げると、美沙子は「とりあえず早く帰ってきて 」とあきれたように笑った。
工藤が息絶え絶えになりながらも安堵の涙をこぼしていると、後ろから強い衝撃。
なんと、矢崎の乗った車が後ろから体当たりしてきたのだ。
工藤を見て不気味な笑みを浮かべる矢崎。
すると工藤は車を急発進させ、笑みを浮かべながらカーチェイスをくり広げるのだった。
日本版リメイク映画『最後まで行く』の感想【ネタバレあり】
工藤が尾田をはねるところから物語がはじまるのですが…。
裏金がバレたり、検問に引っかかったり、序盤で詰みすぎていて「もう無理だろ」と思ってしまいました(笑)。
しかも尾田の遺体を処理するために母親の棺桶につっこむとか…。
鬼畜すぎて笑いました。
ダクトを通って運ぶときにあれだけ声を出していたら警備員にバレそうなものですけどね。
お母さん、ちゃんと成仏できたかな…(笑)。
その後、工藤を脅していたのは矢崎だと判明。
矢崎の視点でこれまでの出来事を振り返るのがおもしろかったです。
真っ当なエリートかと思いきや、とんでもない裏の顔を持っていました。
綾野剛はかなりハマり役でしたね。
ラストは工藤vs矢崎のタイマン勝負。
終わったと思ってもどんどん続いていくので「最終的にどうなるの?」と気が抜けませんでした。
似た物同士の2人にはずっと血まみれの追いかけっこをしていてほしいものです。
最後の最後には、すべて仙葉が描いた筋書きだったことが明らかに。
工藤と矢崎は踊らされていただけということですね。
まあ、でもこの件がなくても2人はいずれ破滅の道をたどっていたでしょうし…。
それが早いか遅いかだけの話だったのかなと思います。
結局トカゲは砂漠を抜け出せないんですね。
日本版リメイク映画『最後まで行く』の考察
日本版リメイク映画『最後まで行く』で気になったシーンを考察しました。
考察1:砂漠のトカゲはどういう意味?
作中にたびたび登場する「砂漠のトカゲ」というキーワード。
これは現状に満足していないものの、それに甘んじている者の象徴でしょう。
砂漠のトカゲは熱い地面の上で生きています。
よりよい環境はあるはずなのに、足をひょこひょこさせていれば生きていくことは可能です。
縄張りを移動させるのはリスクを伴うもの。
ほかの生物と縄張り争いをする強い力が必要になります。
そうであれば、決して恵まれた環境でなくとも、生きていけるのだからと受け入れてしまっているのです。
それは工藤も矢崎も、工藤の母も同じこと。
どうすることもできず、そこにじっと留まっているのです。
仙葉はそんな工藤に手を差しのべます。
砂漠から抜け出すための強い力、大金を手に入れる方法です。
とはいえ、トカゲが強い力を持ったとしても、広大な砂漠から自力で抜け出すのは現実的に不可能でしょう。
仙葉の提案は、蜃気楼で見えたオアシスでしかありせん。
考察2:ラストシーンの意味は?
ラストは工藤と矢崎がカーチェイスをくり広げて終わります。
最終的に2人がどうなったのかは描かれないので、その後が気になるところですよね。
さまざまな見方ができると思いますが、自分は死後の世界でも永遠にカーチェイスを続けているのだと考えます。
おそらくカーチェイスがはじまった時点で、2人は死亡しているのではないでしょうか。
矢崎は爆発に巻きこまれたうえに、戦闘で瀕死の状態でしたし…。
工藤も腹を撃たれて重症です。
美沙子との電話を終えたあとに腹の傷にカメラが寄るシーンは、工藤が失血死したことを示しているのではないかと思います。
しかもそれまで工藤の荒い息づかいが聞こえていたのに、矢崎が突っ込んでくる直前で一瞬だけ無音になるんですよね。
その瞬間に工藤は息を引きとったのでしょう。
2人とも死後の世界にいるのであれば、カーチェイスに終わりはありません。
最後まで、地獄の果てまて行くしかないのです。
日本版リメイク映画『最後まで行く』ネタバレ&考察まとめ
今回は、日本版リメイク映画『最後まで行く』のネタバレあらすじ&感想・考察を紹介しました。
ノンストップでくり広げられる怒涛の展開が魅力の本作。
ブラックユーモアも満載でとてもおもしろかったです。