映画『狩りの時間』のあらすじと感想・考察をネタバレありで紹介します。
経済が崩壊した韓国で人生一発逆転を狙う若者たち。
裏カジノへ強盗に入りますが、それがきっかけで謎の殺し屋に追われることに。
必死で逃げるジュンソクやギフンはその後どうなったのか?
殺し屋・ハンは何者で、目的は何なのか?
気になったシーンを考察しました。
ジュンソクたちのその後やハンの正体が気になっている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
映画『狩りの時間』の作品情報
原題 | 사냥의 시간 |
タイトル | 狩りの時間 |
監督 | ユン・ソンヒョン |
脚本 | ユン・ソンヒョン |
公開年 | 2020年 |
キャスト | イ・ジェフン チェ・ウシク アン・ジェホン パク・ジョンミン パク・ヘス ほか |
制作国 | 韓国 |
上映時間 | 134分 |
ジャンル | サスペンス |
映画『狩りの時間』のあらすじ【ネタバレなし】
人生一発逆転を狙う若者たちに襲いかかる謎の殺し屋。逃げ切ることはできるのか?
経済が崩壊し、荒れ果てた韓国。
貧困にあえぐジュンソク、ギフン、チャンホの3人は、友人のサンスが働く裏カジノへ強盗に入ることを計画する。
大金を得て南の島の楽園へ行くことを夢見る彼らだったが、強盗が原因で謎の殺し屋に命を狙われることになる。
殺し屋から必死に逃れようとする彼らの運命は……。
主要な登場人物とキャスト
映画『狩りの時間』の主要な登場人物とキャストを紹介します。
ジュンソク(演:イ・ジェフン)
家族はおらず、生きるために犯罪に手を染める青年。
友人たちを誘って裏カジノへの強盗を計画します。
ケンカっぱやく、強引なところもありますが、仲間思いな性格。
ピンチになったときに冷静に判断し、切り抜ける強さを持っています。
ギフン(演:チェ・ウシク)
ジュンソクの友人。
やや反抗的ながらも家族を思いやる優しい青年。
仲間たちのなかでは比較的常識人です。
ただちょっと楽観的なところがあります。
チャンホ(演:アン・ジェホン)
ジュンソクの友人。
喘息持ちで、身体も気も強いほうではありません。
寝たふりをして友人たちの気を引こうとするかまってちゃんな性格。
お調子者でどこか頼りないですが、いざというときには仲間のために動きます。
サンス(演:パク・ジョンミン)
ジュンソクの友人。素直な性格です。
病気の母がおり、その手術代のために裏カジノで仕事をしています。
過去にジュンソクからお金を奪ったことがあり、それが原因で裏カジノへの強盗を手伝うことに。
ハン(演:パク・ヘス)
狙った獲物は逃さない殺し屋。その素性は謎です。
ジュンソクたちに襲いかかります。
映画『狩りの時間』の感想【ネタバレなし】
緊張感がハンパない!追い詰められた若者たちの逃走劇
生きるために犯罪に手を染めるしかない若者たちの悲しい物語です。
134分と長めの映画ですが、最初から最後までハラハラして気が抜けませんでした。
ジュンソクたちを応援したいのですが、素人なのでツメは甘いし、全然うまく闘えないんですよね…。
そのせいで余計にハラハラします。
合間に見せるジュンソクたちの友情も見どころです。
強盗はしたくないけど、ああいう友だちはほしいと思いました。
ドンパチ派手な銃撃戦や計画的で華麗な脱走劇はありませんが、おもしろい映画です。
以下、ネタバレを含みます
映画『狩りの時間』の結末【ネタバレあり】
ジュンソクは刑務所で知り合った先輩・ボンソクから武器を調達する。
サンスの協力で裏カジノへの進入経路や逃走ルートも確認済みだ。
そして決行当日。
裏カジノへ侵入したジュンソク、ギフン、チャンホの3人。
守衛のガードに阻まれながらも、なんとか裏カジノへの強盗は成功した。
しかしボンソクから情報が漏れてしまい、3人は謎の男・ハンに命を狙われることになる。
一方、サンスはいつもどおり裏カジノで仕事をしていたが、プレッシャーに耐えられず逃亡し、殺害される。
家族を心配したギフンは、一旦ジュンソクたちと別れて実家に戻るが、実家にはすでに追手が迫っていた。
ジュンソクとチャンホはハワイに逃亡する直前でハンの襲撃を受け、チャンホは死亡する。
生き残ったジュンソクはハワイに渡り、韓国に残ったギフンを待つことに。
しかし、ハンへの恐怖心を拭えないジュンソクは再び韓国へ戻り、ハンと対峙することを決意する。
映画『狩りの時間』の感想【ネタバレあり】
無言の時間がけっこう長いのですが、それがよけいに緊張感を煽りました。
強盗に入った直後くらいまではみんなでお酒を飲んだり、手分けして準備を進めたり、楽しそうな雰囲気だったんですけどね…。
銃を持って記念写真を撮るあたり、まだまだ社会の怖さを知らない若者って感じがしてよかったです。
兵役があるから、一般の男性でも銃の使い方がわかるっていうのが韓国らしい。
そして『狩りの時間』というタイトルでジュンソクたちが狩る側になるのかと思ったら、狩られる側でした。
緊張感のない記念写真撮影からの狩られる側にまわる落差が大きかったです。
死に迫りながらも弟分をかばおうとする兄貴分のボンソクもいいキャラでした。
最初にジュンソクから話を聞いたとき、
「南の島でボロ儲けなんてそんなうまい話ないだろ。絶対騙されてるよ!」
と思っていました。
ボンソクは本当にいい人だったのかもしれないです。
疑ってごめんなさい。
ただ、ジュンソクとボンソクと電話は「そんなこと言ったら絶対にまずいよ!」とハラハラさせられました。
第三者の目線で見ているからこそ、状況が把握できるので怖いですね。
素人がヤクザの息がかかった裏カジノの強盗なんて100%ヤバいと思ったら、想像以上にヤバかったです。
ギフンがジュンソクの自転車屋さんに現れるシーンで、
「ギフンどうにか生きてたんだ!よかった!」
と思ったのに、当然そんなことはありませんでした。
まさかラストでジュンソクが韓国に戻るなんて…。
しかも、ハンはあの状態で生きていたという恐ろしい不死身っぷりです。
ジュンソク以外は全滅してしまいましたが、これでジュンソクも含めて全滅になってしまうのでは…。
全体的に暗い雰囲気の映画でしたが、ラストシーンまでなんとも言えない重苦しい気持ちになりました。
映画『狩りの時間』の考察
映画『狩りの時間』で気になったシーンを考察しました。
考察1:ジュンソクとギフンはその後どうなった?
まず、家族の様子を見に実家へ戻ったギフン。
彼はその後どうなったのでしょうか。
おそらくギフンは実家へ戻った時点で亡くなってしまったのだと考えられます。
ラストシーンで、ジュンソクの協力者が「(ジュンソクがギフンのことを)聞きもしないのにあえて言う必要はない」と言っていました。
続けて「自分をだまさないと耐えられない時もある」と言っていることから、ギフンは生きていないことがうかがえます。
自転車屋に現れたギフンは、ジュンソクの幻想でしょう。
そして、ハンの襲撃からなんとか逃れてハワイに渡ったジュンソクは、韓国に戻ってハンと再び対峙することを選びました。
この後ジュンソクはどうなってしまうのでしょうか。
おそらくジュンソクが韓国へ戻っても勝ち目はないでしょう。
確かにハンは重傷を負っていました。
しかしジュンソクとは比べものにならないほどの経験があります。
そのため、この物語はバッドエンドなのではないかと思います。
では、勝ち目がないのになぜジュンソクは韓国へ戻ることにしたのでしょうか。
まずジュンソクはハワイでギフンの到着を待っていましたが、おそらくギフンがもう生きていないことはわかっているはず。
そして遠くまで逃げてきたのにハンへの恐怖心に囚われています。
本当の意味でジュンソクはハンから逃げられていないのです。
ジュンソクはもともと家族がおらず、この一件で友人も失ってしまいました。
もう失うものは何もありません。
どれだけ遠くへ行っても逃れることはできず、自分には失うものは何もない。
そう気づいてジュンソクは決意が固まったのでしょう。
考察2:ハンは何者?目的は?
ハンは一体何者なのか、謎に包まれたままです。
警察車両に乗っていることから警察の関係者であり、あれだけの罪を犯しても警察から見逃されるということは要人の後ろ盾があるのでしょう。
ジュンソクたちを襲う目的も明かされていませんが、おそらくハンは警察という立場を利用した快楽殺人者だと考えられます。
裏カジノの関係者に頼まれて強盗犯を捕まえることだけが目的なら、一度捕らえたジュンソクたちをわざわざ逃がすようなことはしません。
ジュンソクたちとの狩りという名の追いかけっこを楽しんでいたのは明らかです。
「一度目をつけたら、理由のあるなしに関わらず必ず殺す」と語られていることから、自分が持った相手を見つけたら誰でもかまわず殺しているのでしょう。
ジュンソクたちはそんな快楽殺人者に運悪く目をつけられてしまったのです。
映画『狩りの時間』あらすじ&考察まとめ
今回は、映画『狩りの時間』のあらすじと感想・考察を紹介しました。
ジュンソクたちはどうなってしまうのだろうと手に汗握る展開が続いておもしろかったです。
ちょっと長い映画ですが、最後までハラハラ・ドキドキの連続でした。