Netflixで公開されているスペイン映画『Two』のあらすじと感想・考察をネタバレありで紹介します。
腹部を縫合された状態で部屋に閉じ込められた2人の男女。
犯人も、その目的もわからない状況で、2人を待ち受ける結末とは…?
この記事では、2人が縫合された理由やラストシーンの意味を考察しています。
犯人の目的や結末が気になっている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
映画『Two』の作品情報

原題 | DOS |
タイトル | Two |
監督 | マル・タルガローナ |
脚本 | キュカ・カナルス |
公開年 | 2021年 |
出演 | パブロ・デルキ マリナ・ガテル ほか |
制作国 | スペイン |
上映時間 | 71分 |
ジャンル | サスペンス |
映画『Two』のあらすじ【ネタバレなし】
見ず知らずの人間と縫合された身体。密室。それは悪夢の始まり
ベッドの上で目を覚ました2人の男女。
お互いに面識はなく、なぜここにいるのかも思い出せない。
身体を動かそうとすると激痛が走る。
なんと2人は腹を縫い合わせられ、身体がつながってしまっていたのだ。
誰がこんなことをしたのか?犯人の目的とは?
そして、2人はここから生きて脱出できるのか……?
主要な登場人物とキャスト
映画『Two』の主要な登場人物とキャストを紹介します。
ダビド(演:パブロ・デルキ)
38歳の男性。独身で、犬と一緒に工場の近くで暮らしています。
ぶっきらぼうな性格。
薬品に詳しかったり、ピッキングができたり、何かと怪しいところがあります。
サラ(演:マリナ・ガテル)
洋服店で働く33歳(自称)の女性。
歳の離れた夫がおり、恵まれた生活を送っているようです。
ダビドが犯人なのではないかと疑っています。
映画『Two』の感想【ネタバレなし】
狂気的な設定が秀逸!消化不良感はあるものの、気軽にたのしめる
まず設定がおもしろいですよね。
目が覚めたら見ず知らずの人間とくっついているなんて、悪夢でしかありません。
何の説明もないまま話が進んでいくので、謎は深まるばかりです。
よく言われているとおり『ムカデ人間』や『SAW』を彷彿させます。
そこまでグロいシーンはありませんが、なかなか痛々しいです。
そして基本的に2人とも一糸まとわぬ姿なので、目のやり場に少々困るというか…。
序盤はかなりワクワクしましたが、中盤〜ラストにかけてはちょっと「ん?」と思ってしまいました。
もう少し伏線を丁寧に回収してもらえたら、よりたのしめたのかなと思います。
ただ、設定は本当におもしろいですし、71分と短いので気軽に見られる作品です。
以下、ネタバレを含みます
映画『Two』の結末
ダビドとサラは手がかりを得るために、閉じ込められている部屋のなかを捜索する。
2冊の聖書、2枚の同じ絵、2つのオブジェ、2番にしかつながらない電話…。
そして、2番に電話をかけると聞こえてきたのはモーツァルトのレクイエム。
それはサラの夫が好きな曲だった。
これにより、サラは犯人が夫のマリオだと確信する。
夫のマリオは高名な学者で、数字の2に強い魅力を感じていた。
そして非常に嫉妬深く、サラの浮気を疑って2週間前から家に帰っていなかったのだ。
ダビドとサラは嫉妬深いマリオをおびき出すため、何度もキスしながら身体を重ねる。
まんまとやってきた犯人を蹴り倒し、2人は部屋を脱出した。
しかし、部屋の外に広がっていたのは衝撃的な光景だった。
2人と同じように身体を縫合された犬、その横にはマリオの死体…。
実は、犯人はマリオではなく2人の父親だった。
ダビドとサラはもともと結合双生児だったが、切り離されて別々で過ごしていたため、そのことを本人たちも知らなかった。
しかし父親は2人が一緒に過ごすべきだと考えて、再び縫合したのだ。
2人は父親と揉み合いになり、ダビドが大ケガを負って動けなくなってしまう。
やむを得ずサラはペーパーナイフで腹の結合部分を切り、外へ助けを求めに行く。
その間も弱っていくダビド。
そんなダビドと連動するように、サラも地面に倒れこむのだった。
映画『Two』の感想【ネタバレあり】
割れた鏡の破片とか、切れ味の悪いペーパーナイフで結合部分を切るシーンは、見ていて痛かったです。
自分のなかで『ムカデ人間』や『SAW』はグロいけど想像をはるかに超えているので、もはやファンタジー。
でも『Two』は痛みが想像できてしまうので、生々しい。
せめて切れ味のいい、ちゃんとした道具をください…。
結合双生児というオチには「なるほど」と思いました。
数字の2は双子という意味だったんですね。
ダビドとサラがいい感じに対照的なキャラクターで、いたるところに「2」が出てくる演出もよかったです。
ただ、最初のほうでサラが33歳って答えるんですよ…。
できればそこは嘘をつかないでほしかった……。
あと、なんで父親はマリオのフリをしていたのでしょうか。
父親は3人で一緒に暮らそうとしているだけなので、別にマリオになりすます必要はない気がします。
そこが腑に落ちなかった部分です。
ラストシーンは好みがわかれるかもしれませんが、映像的にとても綺麗だなと思いました。
映画『Two』の考察
映画『Two』のなかで気になったシーンを考察しました。
考察1:ダビドとサラが縫い合わされた理由は?
ダビドとサラが縫い合わされた理由は、父親の歪んだ愛情表現だと考えられます。
まず、ダビドとサラを拉致して縫い合わせた犯人は、彼らの父親です。
これはサラが銃を向けたときに、犯人が「父を撃つわけはない」と言っていることからわかります。
そして壁に貼られた結合双生児の記事から、ダビドとサラはもともと結合した状態で生まれてきたことが発覚します。
記事によると、彼らの父親は妄想型統合失調症。
父親が「ブンカー兄弟は孤独知らず」「お前たちのため」と発言し、シャム双生児に異常な執着を持っているのはこのためでしょう。
父親は彼らを苦しめるために身体を縫い合わせたわけではありません。
2人で1人として過ごすことこそが幸せだと考えていたのです。
また、ダビドとサラがキスしたときに電気が消えたのは、父親が見るに耐えなかったからでしょう。
2人はあくまでもきょうだいであって、男女の関係になるべき相手ではないですからね…。
ちなみに、ダビドとサラが部屋のなかで見つけた2冊の聖書。
以下の内容が書かれているページに印がつけられていました。
「オオカミは子羊と宿りヒョウは子ヤギと伏す
子牛と若獅子は共に育ち子供が導く」
これは「相反する存在が共生し、平和に生活を送る」という父親の理想を表したものでしょう。
考察2:ラストシーンの意味は?
大ケガを負ったダビドと、助けを求めて外へ出たサラ。
サラは縫合部分を切り離した際に出血したものの、致命傷になるほどではなさそうです。
しかし、雪の上に倒れこんでしまいました。
このラストシーンは結合双生児の強いつながりを表現したものでしょう。
実際、作中に登場したブンカー兄弟も、兄が亡くなった約3時間後に弟も息を引き取りました。
ダビドが亡くなれば、サラも同じ運命をたどることになるのです。
薄暗い屋内にいるダビドと、真っ白な雪の上にいるサラとの対比が印象的でした。
2人は何かと対照的な設定になっています。
婚姻状況、仕事、通った学校、住んでいる場所…。
これは結合双生児が表裏一体の関係であることを表しているのだと思います。
映画『Two』あらすじ&感想・考察まとめ
今回は、映画『Two』のあらすじと感想・考察をネタバレありで紹介しました。
見ず知らずの人間と接合されるという悪夢のような設定がおもしろかったです。
短い作品なので、さくっとたのしめるのもいいですね。
Netflixで配信されているので、気になる人はぜひ見てみてください。